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「親友」という言葉の奥にあるものは…気鋭の歌人・岡本真帆が「大切な友人に会いに行きたくなる映画」

映画『ソウルメイト』

2024/03/16

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画

note

友情より愛情の方が重要と見なされそうだけど…

 女性同士の友情は、ともすれば、男女の結婚よりも重要ではないとみなされるのかもしれない。もちろん、誰もそんなことをはっきりとは口にしないし、口にするのも憚られるようなことだ。恋愛から始まった男女の関係は結婚に至り、やがて夫婦へと形を変えていく。関係性につく名前が変化して、どこかゴールのように見える「最終到達点」が存在している愛情の方が、生きていく上で重要なこととして見なされているような気がしてしまう。

 でも、本当はそうではないと私は言いたい。自分の魂が出会った瞬間に震えるような絆に、年齢も性別も立場も関係ない。ミソとハウン。尊重し合う二人の、他者では代替がきかない関係に分かりやすく名前をつけるとしたら、親友以上の「ソウルメイト」になるのかもしれない。魂が惹かれ合う、唯一無二の存在。映画『ソウルメイト』はそんな二人の出会いと別れの物語だ。二人の壮絶な半生が紐解かれ予想しない結末に到達したとき、冒頭に登場する1枚の絵に対して、まったく異なる感情がわき上がる。

 鑑賞すればきっと、心の中にいる大切な友人に会いに行きたくなる作品だ。

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『ソウルメイト』

STORY
公募展で大賞に選ばれた「作者・ハウン」という記載だけで応募された絵画。そこに描かれていたのは、高校生のミソだ。ギャラリーの担当者から、ハウンとコンタクトを取りたいと連絡を受けたミソだが、ハウンとは幼い頃に遊んだだけの仲だと語る。ハウンのブログにはミソとの深い関係が綴られているにも関わらず…。

ミソとハウンは小学生からの大親友。だが、成長するにしたがって、気持ちや生活がすれ違うようになっていた。17歳の夏、ソウルと済州島と離れて暮らすようになった二人。5年後、再会を果たして釜山旅行に二人で出掛けるが、価値観の違いによって大喧嘩に。それを機に、疎遠になっていた16年目のある日、ハウンは忽然と姿を消した。二人だけの“秘密”を残して…。

STAFF & CAST
監督:ミン・ヨングン/出演:キム・ダミ、チョン・ソニ、ピョン・ウソク/2023年/韓国/124 分/配給:クロックワークス/公開中

「親友」という言葉の奥にあるものは…気鋭の歌人・岡本真帆が「大切な友人に会いに行きたくなる映画」

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