日本でも大ヒットしている韓流ドラマ「梨泰院クラス」。このドラマを演出し、アジアでも大ヒットさせたのが、韓国ドラマ界の名物監督キム・ソンユン氏だ。キム監督に、前編に引き続き、ドラマ製作の舞台裏や日本のファンへの思いを聞いた。
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恥ずかしい台詞も格好良く聞こえる「俳優の力」
——セロイとイソなど、主要キャラクターをキャスティングする際に、もっとも重点を置いた点は何ですか?
「セロイというキャラクターには堅物なところと、たぐいまれな魅力が必須でした。誰が主人公に相応しいのか話し合っていたら、パク・ソジュンさんはリーダーシップがあって芯が強い人だという話をたくさん聞きました。パク・ソジュンさんは生まれつきの優れたフィジカルに、演技力も抜群。韓国ドラマ界で、いつもキャスティングしたい俳優1位です。ちょうどパク・ソジュンさん本人も、これまでラブコメで見せた瞬発力や演技とは違うキャラクターに挑戦してみたかったようでした。おかげで最高の俳優をキャスティングすることができました。
イソ役のキム・ダミさんは映画『The Witch/魔女』での演技がとても印象的でした。だからこそ、ドラマは初めてでしたが全く不安はありませんでした。ソシオパスだけど認めざるを得ないイソという人物を本当によく表現してくれました」
——パク・ソジュンさんが演じたセロイについてどう思いますか? 監督の意図通りに表現されましたか?
「(原作者でドラマの脚本を担当した)クァンジン氏は製作発表会で『120%以上、セロイを表現してくれた』と話していました。私も同感です。原作では個性の強いキャラクターがとても魅力的ですが、原作に出てくるセリフを実際の俳優たちが話すと、手足が縮むほど恥ずかしいのではないかという懸念がありました。セロイも恥ずかしい台詞を口にしますが、それが格好良く聞こえたのは、パク・ソジュンさんの俳優としての能力だと思います。『これこそ俳優の力だな』と感心しました。
パク・ソジュンさんは、ドラマの主人公として、スタッフや同僚の俳優たちの面倒をみる能力にも優れています。大変な撮影でも、現場のムードメーカーとして周りに気を配る姿は、セロイと本当に似ていると思います」