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「こんな世界を一体どうやって作ったんだろう……」大人気和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」がついにアニメ化!

阿部智里×本泉莉奈×七海ひろき座談会

source : オール讀物 2024年3・4月合併号

genre : エンタメ, 読書, 社会

note

 阿部 もう一つ、七海さんの応募テープで忘れられないのが、冒頭に「ぜひやりたい」とおっしゃっていたことです。

 七海 憶えていらっしゃいましたか(笑)。こんな素晴らしい作品の、これほど格好いい素敵な浜木綿という役を、どうしても、絶対に演じたかったんです。気持ちを伝えずに後悔したくなかったので、「浜木綿、大好きです。お願いします!」と、テープ冒頭に吹き込みました。

 本泉 かわいい!

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 阿部 その上で「かりな」を外さずに読んでいらしたので、「これはリップサービスじゃないな」と確信しました。お二人とも本当に素晴らしいテープを送って下さって、登場人物についてどういった解釈をされているのか、今日はぜひともお伺いしたかったんです。

 七海 私はとにかく、コミカライズと原作を読んだ時から、浜木綿という人物の格好良さが大好きでした。戦闘力も感じさせつつ、一方で分け隔てない大きな愛も持つ人。イメージとしては女子校にいそうな……。

 本泉 バレンタインデーにチョコを沢山もらうタイプですよね!

 七海 バレーボール部かバスケ部か分からないですが、「あの先輩、素敵!」「かっこいい!」と言われる、キャプテンらしい人物(笑)。チョコをたくさんもらいながらも、「ありがとうね」とみんなに等しく返すタイプでしょうか。

 本泉 まさに、女子校の王子ですね。

 あせびについては、「THE・王道のお姫様」と思いました。まずコミカライズを読み、そのあと原作を読んだのですが、きらびやかな世界で欲しいものを手にするのは、きっとこんな子だ……と感じました。でも、あせびの人物像はそれだけじゃないですよね。彼女という人物をどう見せていくか、というせめぎ合いが本当に難しかったです。慎重に演じなければと気を付けていました。

 阿部 『単』を書いた当初は、新人賞を受賞してデビューする必要に迫られていたんです。だからこそ「四姫全員の、第一印象と読了後の印象を変えてやる!」と強く意気込んでいました。印象の変わっていく役を演じる難しさが、それぞれの人物にあったと思います。

「八咫烏シリーズ」原作者の阿部智里さん