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「まる子で売れるまでは、ず~っとコンプレックス」「まる子と一体化されるのはちょっと」TARAKOが乗り越えた“弱音”

「まる子で売れるまでは、ず~っとコンプレックス」「まる子と一体化されるのはちょっと」TARAKOが乗り越えた“弱音”

2024/04/21

genre : エンタメ, 芸能

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 2024年3月4日、人気アニメ『ちびまる子ちゃん』で主人公・まる子を演じている声優のTARAKOが亡くなった。まる子を演じていたのは、実に34年にわたる。

 TARAKOの声を聞けば誰もがまる子を思い浮かべた。まる子を見ればTARAKOの声が耳の奥で蘇る。日本中から愛された「声」だった。

 最後に収録したエピソードが放送されたのは3月24日。「天真らんまんで、みんなに愛される『まる子』を大切に演じてくださったTARAKOさんのご冥福を心からお祈りいたします」という番組スタッフからのメッセージが流された。

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原作者と「そっくり」だったあの声

『ちびまる子ちゃん』原作者のさくらももことTARAKOの声がそっくりというのは有名だ。ふたりで一緒に喋っていると「どっちが喋ってるのかわからない」とよく言われた。『さくらももこのオールナイトニッポン』に、やはり声がよく似ているシンガーソングライターのイルカと一緒に出演して、リスナーを混乱させた。

3月4日に亡くなった、人気アニメ『ちびまる子ちゃん』で主人公・まる子を演じている声優のTARAKOさん

 アニメ『ちびまる子ちゃん』の監修を務めていた宮永正隆氏は、さくらと一緒にTARAKOの声が入ったテープを聞いて、まる子役に即決したと証言している(Xのポスト 24年3月11日)。「主役経験がないのに技量があり可愛い声」を求めていた宮永氏は、テープから流れ出た声の「圧倒的な個性と愛らしさ」に感動を覚えたという(北國新聞 21年4月20日)。

「まる子になりたかったんじゃないかな」収録時の彼女を見たスタッフは…

 放送開始は90年1月7日。TARAKOの声によって命が吹き込まれたまる子がテレビの中で踊りだすと、すぐさま日本中が熱狂した。最高視聴率は39.9%。TARAKO本人によるとグータラな性格や家族構成がまる子そっくりだったらしい(アニメイトタイムズ 15年12月20日)。

『ちびまる子ちゃん』は長寿番組となり、TARAKOはいつしか役柄を作り込まないようにするため、アフレコ収録の前に台本を見ないようになった。「収録のテストで初めて読んで、そのまま本番です。先に読むと自分が『つくって』きちゃうから、嫌なんですよね」と理由を語っている(文春オンライン 21年7月1日)。