『ちびまる子ちゃん』『コジコジ』などの人気作品を生んだ漫画家のさくらももこさんが8月15日に乳がんで亡くなった。享年53。

さくらももこさん死去を報じるスポーツ紙

 さくらさんの作品は、可愛らしくてほのぼのしているだけでなく、時にはシニカル、時にはシュール、時にはブラックであり、さらにはバカバカしいものを愛でる楽しさ、好きなことをやり続ける大切さ、独特の人生観などについて伝え続けていた。ここではさくらさんの作品の数々の印象的なセリフを振り返ってみたい。

ぎょっとする子どもの本音 「ちびまる子ちゃん」の名言・珍言

なんの収穫もない行為のむなしさにも気づかずに
生きていけるって すばらしい

『ちびまる子ちゃん』1巻

ADVERTISEMENT

 大みそかに大掃除をするさくら家の人々。案の定、まる子、父・ヒロシ、祖父・友蔵は片付けの途中で大いに遊んでしまう。母・すみれに思いっきり叱られた3人は、自分たちが散らかしたゴミを片付けて「オレたちもやればできる」と大喜び。そのコマに添えられたナレーションがこれ。さりげなさすぎてスルーしてしまいそうになるが、なんとも味わい深い。1巻からこの調子である

よし ブスは無視して美人の方にたよろう
『ちびまる子ちゃん』3巻

 静岡のおばあちゃんの家を一人で訪ねようとして迷子になってしまうまる子。涙を流して不安がっていたはずなのに、いきなりむき出しの子どもの本音を読者にぶつけてくるので、思わずこっちがうろたえてしまう。こんなセリフ、少女漫画で誰も見たことがなかったはず。

宿題なんていつでもできるよ
それより今を大切にしなきゃ

『ちびまる子ちゃん』4巻

 楽天的で怠け者のまる子の生き方が凝縮された言葉。こんなことを言って、いつもお母さんに叱られているが、まる子の生き方は本当に楽しそうだ。

名言・珍言に光る脇役たちの魅力

おれはぜんぜんこわくないね
死ぬときゃ死ぬんだ
先のことを悲嘆するより
この酒がうまけりゃいいんだ
『ちびまる子ちゃん』8巻

 まる子の言動は、おっちょこちょいで軽口ばかりたたいている父・ヒロシそっくり。この言葉には「これがヒロシの人格の全てである」というナレーションが添えられている。全てって……。頼りがいはまったくないけど、立派なことばかり言っている父親よりいいかもね。

未来や過去に束縛される生き方は自然じゃないさ
肝心なのは今なのさ

『ちびまる子ちゃん』8巻

 1999年に世界が滅亡するというノストラダムスの大予言にうろたえるまる子たちに、お金持ちの花輪くんがさらりと一言。「明日は自分でつくるものなのさ」というセリフもカッコいい。さくらさんは花輪くんが大のお気に入りだった。