メルヘンチックでブラックな「コジコジ」の名言
コジコジだよ
コジコジは生まれた時から
ずーっと
将来もコジコジはコジコジだよ
『コジコジ』1巻
さくらさんの『ちびまる子ちゃん』に次ぐ代表作が『コジコジ』だった。メルヘンチックなのに、ブラックでシュールなナンセンスギャグが飛び交う独特の世界に、熱狂的なファンも多い。
第1話でテストの点が悪いコジコジが、メルヘン学校の担任教師に「将来一体何になりたいんだ」と問われたときの答えがこれ。コジコジの言葉のあまりの「真理」ぶりに教師は負けを認めてしまう。どんな生き方をしようが、お金があろうがなかろうが、どんな仕事をしようが、自分は自分。何も変わらない。人生を難しく考えすぎる人たちにとっては、すーっと気持ちが楽になる言葉だ(ただし、コジコジの友達の次郎は同じことを母親に言ってぶん殴られた)。
飛べない時はゆっくり休めばいいじゃん
仕方ないよ
飛べないんだからさ
『コジコジ』2巻
コジコジが突然飛べなくなってしまったお正月の精・正月くん(お正月が楽しいのは彼のおかげらしい)におくったコジコジの言葉。絶対に休めない日だとわかっているんだけど、無理したってできないものはできない、という正しいアドバイスだ。「休もう」と決意した正月くんは、気持ちが楽になって飛ぶことができるようになった。
は? 役に立つかどうか?
どうでもいいじゃん そんな事
オレ達 ただモーレツに生きてるだけさ
『コジコジ』3巻
カエルのトミーに誘われて田んぼに遊びに来たコジコジたち。しかし、人間のジョニーは田んぼの中で跳ね回るだけのカエルたちの遊びにどうしても意義が見出だせなかった。そんなジョニーにカエルたちが放ったのが上のセリフだ。
意味や意義なんてどうでもいい。他人からどう思われようとも、好きなこと、バカバカしいことを愛してやまなかったさくらさんの生き方がよく表れている。カエルたちの次の言葉もカッコいい。「役に立つかどうかなんてさ あとから誰かが言う事だろ オレたちゃ 誰かの言う事より 自分の事は自分で決めるさ」。
さくらももこさんにとっての「クール」とは
ムダなことをせず
更に他人に迷惑をかけず
自由に自分の人生をのびのび生きるのが
クールといえるかもな
『コジコジ』4巻
さくらさんの親友だった作家の吉本ばななさんは、さくらさんのことを「だれよりもクールで楽しいことが大好きだった人」と振り返っている(note 9月2日)。さくらさんは『コジコジ』で「クール」をこのように定義していた。きっと、自ら「クール」であることを意識していたのだろう。そして、天真爛漫でマイペースでムダなことばかりしているように見えるコジコジは、実は誰よりも「ムダがない」、つまり「クール」な存在なのだ。
わたしは一生バカだよ
バカは死ぬまで治らないんだから
そうと決まればバカとして
明るく元気に生きてゆくしかないよ
『ちびまる子ちゃん』12巻
開き直りのようだが、とても清々しく聞こえる言葉だ。まる子は無理やり賢くなろうなんて思わず、バカを貫いて漫画家になり、日本全国を明るくほのぼのとした、時折ダークでひねくれた笑いで包んでくれた。さくらさん、本当にありがとうございました。