警察が最凶と恐れるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」。2000人ものスカウトたちが路上やSNSで女性を狙い、次々と風俗店へ送り込む。独自の「闇アプリ」で支配された組織は、年間数十億を稼ぎ出し、裏切り者には凄惨なリンチを加えるという。暴力団や警察官までも飲み込む、この地獄のような組織の実態とは――。

 ここでは、組織の実態に迫ったルポルタージュ『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(著=清水將裕・日本橋グループ*、講談社)より一部を抜粋。2020年6月4日に、新宿・歌舞伎町で100人近い武闘派の暴力団員が若い男性を次々と襲撃する「スカウト狩り」が起きた経緯を紹介する。(5回目から続く

写真はイメージ ©アフロ

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くすぶっていた火種が爆発

 あるとき、歌舞伎町の路上で、ナチュラルのメンバーと住吉会系の組員が小競り合いになったのが直接の引き金という説もある。いずれにせよ、2020年の6月4日、くすぶっていた火種が爆発する。

 ヤクザ組織の中でも武闘派で知られる幸平一家加藤連合会は、傘下の組員100人以上を動員して歌舞伎町でナチュラルのメンバーを次々に襲撃しはじめた。当時、現場近くにいたナチュラルの元メンバーはこう話している。

「先輩から、『ヤクザがナチュラルのメンバーを探し回っているぞ』と連絡が来ました。そのとき、自分の場合は歌舞伎町の路上からは離れたところにいたので無事でしたが、近くにいてヤバかったメンバーもいたようです。我々プレイヤーには、詳しい事情が分からなかったのですが、とにかく手当たり次第に声をかけられて、ナチュラルの所属なのかを確かめられていたと聞きました」

 一方で、当時加藤連合会傘下の組の関係者として、このときのスカウトを狩る側の様子を知る人物は、次のように話している。

「上の指示を受けて、我々も路上だけでなく歌舞伎町のインカジや飲み屋みたいなところにメンバーがいないか、徹底的に探し回っていました。数日間は騒ぎが続いたんじゃないですかね。ナチュラルも一方的にやられるのではなく、双方のメンバーが集まって殴る蹴るの暴行に発展し、どちらかが自転車を投げつけている様子も目撃されていました。ただ、結局ナチュラルの会長などの幹部は、その場では見つからなかったと聞いています」