乱闘に関わった双方の組織の幹部を逮捕
「歌舞伎町乱闘事件」「スカウト狩り」などと呼ばれるこの騒動。新宿警察署の警察官だけでは対応できず、警視庁は機動隊に出動を指示し、沈静化には1週間近くがかかった。
広域暴力団の組員が絡む事件だったため、その後警視庁は本部の組織犯罪対策第四課(現在の暴力団対策課)を投入し、新宿署と共同で捜査にあたった。
乱闘騒ぎから5ヵ月近くたった10月28日、加藤連合会に関係する暴力団員4人と、ナチュラルの会長や幹部3人を暴力行為法違反や傷害の容疑で逮捕する。歌舞伎町に設置されている多数の防犯カメラの映像などから人物を特定したのだ。乱闘に関わった双方の組織の幹部を逮捕するという、喧嘩両成敗的な措置であった。このとき、木山兄ことナチュラルの会長は「西田」という姓であったことが捜査資料から確認されている。
ただ結局は反社会的勢力同士のいざこざということもあり、当局も総力を挙げて捜査するという姿勢ではなかったようだ。証拠も十分とはいえず、会長は20日あまりの勾留で釈放されている。
現場も上層部もナチュラルを過小評価していた
捜査当局もこのときはまだナチュラルの脅威をそこまで強くは感じていなかったのであろう。暴力団の捜査でよくやるように、微罪で再逮捕を繰り返し、徹底的に組織の実態を解明するということもなかった。ナチュラルと住吉会傘下組織との乱闘事件についての捜査はいったん幕引きとなったのである。
警視庁の捜査員は、当時を振り返ってこう話している。
「ナチュラルというのは、しょせんは若い奴ら中心のスカウトグループで、我々としてはむしろ暴力団組織のほうに関心を向けていたと記憶している。ヤクザ相手に乱闘するとはイケイケの集団だな、という記憶はあったけど、うちらからすると、スカウトなんてあまり関心はなかったよね。
まさかその後、こんなに大きな組織になるとも思っていなかったし、スカウトなんて学生あがりがイキっているだけの奴だろうくらいに見ていたね。自分だけでなく、現場も上層部も過小評価しているところはあったんじゃないかな」(当時、組織犯罪対策部に所属していた捜査員)
