警察が“最凶”と恐れるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」。2000人ものスカウトたちが路上やSNSで女性を狙い、次々と風俗店へ送り込む。独自の「闇アプリ」で支配された組織は、年間数十億を稼ぎ出し、裏切り者には凄惨なリンチを加えるという。暴力団や警察官までも飲み込む、この地獄のような組織の実態とは――。
ここでは、組織の実態に迫ったルポルタージュ『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(著=清水將裕・日本橋グループ*、講談社)より一部を抜粋。「ナチュラル」の現役メンバー・佐伯(偽名)が語った組織の内情を紹介する。(2回目に続く)
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警察当局も実態を把握てきていなかった「ナチュラル」
取材チームがナチュラルについて取材を始めたのは、2024年の終わり頃である。前年の2023年に、警察庁は「SNSなどを通じ緩やかな結びつきで離合集散を繰り返して犯罪を行う集団」が急増しているとして、新たにそうしたグループを「匿名・流動型犯罪グループ」通称「トクリュウ」と名付けると発表した。
トクリュウは、暴力団などとは異なり、構成員が流動的でメンバーの匿名性が非常に高いのが特徴だ。それまでも、半グレと呼ばれる反社会的な集団は存在していたが、その進化版ともいうべきもので、警察庁は「現代社会において、治安を脅かす新しい存在」と位置づけ、警察庁長官の号令の下、全国の警察に実態の解明や取り締まりの徹底を指示した。
ナチュラルも、このトクリュウと定義される組織だが、その実態は警察当局も含めてほとんど把握できていなかった。
数年間在籍しているという現役メンバーへの対面取材に成功
この謎の多い組織に、我々は複数のルートでアプローチすることにした。1つは、彼らが使用している「闇アプリ」の解析である。「ナチュラルと言えばアプリ」と一部では言われているほどで、アプリの存在は関係者には知れ渡っていた。
アプリ内ではリアルタイムで情報が更新され、組織中枢から次々に指示が出される。その内容を把握することはナチュラルの実態を摑むうえで不可欠であった。
そしてもう1つ。もっとも重要で、かつもっとも難航したのが現役で活動しているメンバーへの直接取材である。
しかしもともと組織内の統制や情報管理が非常に厳しいうえに、ナチュラルをはじめとしたスカウトグループに対する近年の警察の包囲網もあって、現役メンバーでなくとも、彼らを知る関係者に接触することすら難しかった。すでに組織を離れた元メンバーでさえ、「話すことはない」として、取材に応じてくれることはなかなかなかった。
ナチュラル関連の取材を始めて5ヵ月ほど経った頃、裏の稼業に精通しているある知人から連絡が入った。数年間在籍しているという現役メンバーが、対面での取材に応じてくれるかもしれないという。
それが佐伯だった。
