警察が最凶と恐れるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」。2000人ものスカウトたちが路上やSNSで女性を狙い、次々と風俗店へ送り込む。独自の「闇アプリ」で支配された組織は、年間数十億を稼ぎ出し、裏切り者には凄惨なリンチを加えるという。暴力団や警察官までも飲み込む、この地獄のような組織の実態とは――。

 ここでは、組織の実態に迫ったルポルタージュ『捕食 欲望をカネに変えるトクリュウ型犯罪集団「ナチュラル」の闇』(著=清水將裕・日本橋グループ*、講談社)より一部を抜粋して紹介する。(3回目から続く)

写真はイメージ ©maruco/イメージマート

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秘密結社のような性質を持った反社会的組織

 ここに警察当局が作成したナチュラルに関する内部資料がある。そこに次のような記述があった。

〈ナチュラルは歌舞伎町地区のほか都内の大規模繁華街にて、同所を縄張りとする暴力団に多額の現金を支払うなど共存共栄を謳いながら、巨額の資金獲得活動(通称スカウトバック)を行い、組織の拡大を図っている。法人登記はされていないが、『本社』『従業員』などといった記載があり、会社組織のような体裁をとっている〉

 さらに、こんなことも書かれている。

〈警察を『ウイルス』『プロ』などと称し、取締りを回避すべくメンバー間でさえ本名を秘して源氏名を使わせ、かつ自身らで開発した秘匿性の高いアプリでメンバー間の通信・やりとりを厳命している。徹底した警察対策を講じる、秘密結社的側面を持つ反社会的組織である〉

 警察への対策を徹底し、秘密結社のような性質を持った反社会的組織といえば、極左の過激派とも通じるところがあるが、大きく異なるのは組織として事務所や拠点を持たず、匿名のメンバー同士がアプリというツールだけで繫がっているということである。

1年間の収益は少なく見てもおよそ50億円

 組織の全貌を把握しているのはごく一握りの幹部だけで、その他のメンバーは上層部の顔すら見たことがない。現場のスカウトマンは、自分たちの所属している組織を「会社」と呼ぶが、その会社の社長が誰かも知らず、組織の全体像も把握できていない。いや、把握させないような仕組みになっているのだ。

 最近では、ナチュラルという呼び名を隠すために、自分たちの組織を「クリア」「ホワイト」などと偽ってメンバーの勧誘をしている。このため、最近入ってきた末端のメンバーの中には、自分がナチュラルに所属していることさえ知らない者も多いという。

 一説には、国内の風俗店の約20%がナチュラルと取引をしているとも言われている。年間に動くカネは100億円単位で、1年間の収益は少なく見てもおよそ50億円にのぼる。当然、税金は払っていない。これだけの莫大なカネを動かしながら、表にはいっさい出てこず、社会的・法的には存在すらないことになっている集団である。

 我々はナチュラルの実態を解明するため、その組織の構成や活動内容を把握するところから始めた。