声優として「毎月20万円」稼ぐためには、どれほどの仕事をすればいいのか? 小倉唯、石原夏織、豊田萌絵、伊藤美来らアイドル声優のプロデュースに関わる株式会社スタイルキューブ代表のたかみゆきひさ氏が解説。

 業界事情から、今直面する問題、声優のプロデュース/マネジメント術を明かした新書『アイドル声優の何が悪いのか? タレントとしての声優マネジメント』(星海社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

声優として月25万円稼ぐにはどれくらい働けばいいのか? 写真はイメージ ©getty

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声優は役者業/声優業だけで食えるのか?

 まず前提条件として、「役者業=アニメに声をあてる声優業だけでは声優は食べていけない」ということを確認しておきましょう。

 アイドル化/タレント化する声優像については、声優ファンからは(ときには業界人からも)度々疑問や批判が投げかけられてきました。「声優は声優の仕事だけしてればいい」そういった意見はSNSなどでもよく見ます。アイドル化/タレント化しても、声優の本分である役者業/声優業をおろそかにしてはならないという見解はごもっともですし、もともとアニメおたくである自分もそうであるべきと思うところはあります。

 しかし、声優業のみの専業で生計を立てることは至難の業なのです。そんな声優の台所事情を知っていただくため、どれくらい働けば声優業のみで「食べていける」のか、簡単に計算してみます。

 最初に「食べていける」というのはいったいどのくらい稼ぐことなのか、決めておきましょう。各個人の感覚で「食べていける」レベルというのは違ってくるかと思うので、ここでは世間のスタンダードとして大卒初任給を参考にしてみましょう。令和元年の大卒の初任給は、厚生労働省によると約20万円程とされています。

 東京都内で7~8万のワンルームを借りてのひとり暮らしだと、20万円で生活するのは贅沢しなければなんとかやっていけると思いますが、そこそこカツカツな数字だと思います。「5万円の安アパートを借りて、パンの耳ともやし炒めで生活すれば、もっと安く生活できるよ」という意見もあるかもしれませんが、そういう生活はいったんわきに置いておきましょう。そして忘れがちなのですが、というか一般には知られていないかもですが、日本ではテレビアニメというものはほぼすべて東京都内でアフレコされています。