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ドナルド・トランプ 米大統領
「日米で緊密に連携していきたい。日本はビッグプレーヤーだ」

日テレNEWS24 5月10日

 5月9日、北朝鮮は拘束していた韓国系アメリカ人3人を解放した。6月に行われる米朝首脳会談を見越したものだ。

 10日にはトランプ大統領から安倍首相に電話協議が持ちかけられた。同席した日本政府関係者によると「米国人解放をよほど報告したかったようだ」とのこと(日本経済新聞 5月11日)。水面下ではトランプ大統領の信頼が厚いポンペオ国務長官が北朝鮮との交渉を繰り返し行ってきた。9日にも金委員長とポンペオ国務長官の会談が行われ、北朝鮮メディアは「満足のいく合意」に達したと報じた(日テレNEWS24 5月10日)。しかし、日本政府にはポンペオ氏にあたるような交渉ルートがないように見える。

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10日、米中西部インディアナ州で支持者を前に演説するトランプ米大統領 ©AFP=時事

 安倍首相は米国人3人の解放が「大きな成果である」と祝意をトランプ大統領に伝え、「拉致問題の解決のために、日米そして日米韓であるいは中国の協力も得て、この問題の解決のために全力を尽くしていきたい」とコメントした。しかし、米国人の拘束と日本人の拉致問題は根本的に違うという指摘もある。拉致被害者家族の一人、増元照明さんは「米国人解放が日本人拉致被害者に与える影響はない。日本政府は全ての被害者が即時帰国できるよう、これまで以上に全力で臨んでほしい」と強く訴えた(日本経済新聞 5月10日)。

 トランプ大統領は「日本はビッグプレーヤーだ」と語ったが、日本は当事者なんだからビッグプレーヤーに決まっている。安倍首相はこれまで繰り返し「対話のための対話では意味がない」と語ってきたが、いよいよ拉致被害者奪還に向けた対話のステージが迫ってきた。

 元韓国国防省北朝鮮分析官の高永喆氏は「日本が、拉致問題解決に向けて切れるカードは“経済支援”しかない」と断言している(『週刊文春』5月17日号)。安倍政権の外交手腕の真価が発揮されるときがやってきた。まさか「本当は対話などしたくない」なんてことはないよね?