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連載尾木のママで

尾木ママが語る俳句の魅力「思わぬ自分、思わぬ他者を発見できる」

尾木のママで

2018/05/24
イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 今、空前の俳句ブームね。この二月、NHK松山「それいけ! 俳句キッズ」公開収録に出演するためボクも駆けつけた。「俳都」松山に、四国四県から俳句好き小学生が集合し、道後を舞台に吟行。午後は創作した句の選考会。俳句の「子供に与える効果」をまざまざと知った一日だったわ。

 朝、集合してまず目に留まったのは、思春期真っ盛りの女子数人。いかにも面倒臭そうに斜に構えてる。「応援団」の芸人さんも手を焼いてたわ(笑)。そんな彼らが街に出て、自然に触れ観察し、自分の心と向き合い、句に表現しようとする中で、次第にイキイキと頬に赤みがさしてくる。一日が終わる頃には、すっかり清々しい表情に。俳句を詠むという自己表現や、自作の句が認められることなどを通して、心が解放され感性が豊かに研ぎ澄まされていったのね。

 子供たちが詠んだ句にはボクも脱帽! 字足らずなど「型破り」だったり、大人の句に比べたら捻りはあまりきいていない。でも自然を人に見立てたりと、率直な表現が読む人の心にズドンと伝わる。子供の俳句って面白いわ!

 テレビでお馴染みの俳人・夏井いつき先生の句評はさすが! 優れた点はきっちり褒め、さらに「もう少しこうするといいんじゃない?」って的確にアドバイス。子供の創作意欲も上がるってものよ。

 ボクも中学の教員時代、国語の時間に俳句を教えた経験があるけれど、いわゆるお調子者の子が、感性溢れる句を次々量産するの。意外な才能に、級友たちからの評価は急上昇。逆に国語の成績がいい子に限って一句もひねり出せずに苦しんだりする。普段の授業とは全く違う人間理解や学び合いが起こるのは痛快ね。

 知的感性が耕され、思わぬ自分、思わぬ他者を発見でき学び合える俳句。家族で景色のよい場所に出かけ、句作するのも楽しいかも。ボクも一句詠んでみようかしら♥