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「迷ったら前へ」 楽天選手に聞いた星野仙一さんから教わったこと

文春野球コラム ペナントレース2018 対戦テーマ「星野仙一」

2018/06/13
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藤田一也の原動力となっている言葉

星野仙一氏と藤田一也選手 ©RakutenEagles

 藤田一也選手は「『ここまで来られたのは一也のおかげだ』と言っていただけたのがすごく嬉しかったです」と追悼のコメントをされた。

 その真意が聞きたくて藤田選手に話を聞かせてもらった。

藤田選手「たしか優勝する前のマジック2ぐらいの時でしたね。ご飯食べている時に監督が僕のところに来て、ボソッと『ここまで来られたのは一也のおかげだ』と言ってもらったのですが、あれは多分冗談だと思います(笑)。でも冗談だったとしても本当に嬉しかったです」

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河内「星野さんから学んだものは何でしょうか?」

藤田選手「横浜DeNAベイスターズから来て、星野監督が毎日我慢して使ってくれたおかげで今も現役でプレー出来ていると思いますし、リーグ優勝も日本一も経験させていただきました。野球選手は試合に出てなんぼという事を教えてくれました」

河内「天国にいる星野さんと会話できるのなら、どんな話をしたいですか?」

藤田選手「御礼が言いたいですね。いなくなって気付く事も多かったので、しっかり感謝の気持ちを伝えたいです」

 そして最後に藤田選手は「あの時、星野さんが監督じゃなければ、本当に今の自分はなかったので」と言った。

 先週の木曜日の巨人戦で、藤田選手は好守と、ライトポール直撃の決勝ホームランを放ちヒーローとなった。今もなお輝き続ける藤田選手。その原動力となっている言葉を聞くことが出来た気がした。

監督引退セレモニーの星野仙一氏 ©RakutenEagles

 このコラムに掲載している星野氏の写真を撮った、楽天イーグルスオフィシャルカメラマンの黒澤崇氏は昨年の秋に「カメラの持ちすぎで、腱鞘炎になってないか?」と星野氏に聞かれたそうだ。今思えば、その頃も闘病されていたのである。自らが病と闘いながらも、スタッフに思いやりの言葉をかけてくれたというエピソードに胸が熱くなった。

 自身の座右の銘である「夢」に向かって生涯を走り抜いた星野仙一氏。

 僕はグラウンドで膝を震わせながらご挨拶しただけで、一度も会話出来なかった事が残念でならない。しかし、こんな自分にも夢がある。2003年に星野監督の下でリーグ優勝した阪神タイガースと、その10年後の2013年に日本一に輝いた楽天イーグルスの日本シリーズを観たい。2003年当時、自分はライトスタンドに足を何度も運んだ。その阪神甲子園球場と2013年に星野監督が胴上げされた楽天生命パーク宮城で、楽天イーグルスと阪神タイガースの日本シリーズを実況するのが僕の夢だ。

 そして、天国から星野氏に「実況たまに聞いているけど、まだまだや! もっといけ!」と言ってもらえるよう、どんなに迷ったとしても全力で前に進み続けたいと思う。

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