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「赤ちゃんはママがいい」発言の根っこにある安倍政権と「親学」の関係

学級崩壊も非行も「伝統的子育て」復活で解決できる!?

2018/06/02

genre : ニュース, 政治

 自民党の萩生田光一幹事長代行が、講演で「赤ちゃんはママがいいに決まっている」と発言して物議を醸している。「時代錯誤」「配慮が欠如」という批判の声もあれば、「揚げ足取りだ」「正しいことを言っている」と萩生田氏を擁護する声も上がっている。関連する発言を集めてみた。

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萩生田光一 自民党・幹事長代行
「0歳の赤ちゃんは生後3~4カ月で赤の他人様に預けられることが本当に幸せなのでしょうか」

朝日新聞デジタル 5月27日

 自民党の萩生田光一幹事長代行は、27日、宮崎市内で行われた会合での講演で「0~3歳の赤ちゃんに、パパとママどっちが好きかと聞けば、はっきりとした統計はありませんけど、どう考えたってママがいいに決まっているんですよ」「言葉の上で『男女平等参画社会だ』『男も育児だ』とか言っても、子どもにとっては迷惑な話かもしれない」などと発言した。

 萩生田氏の発言の趣旨である「仕事の心配をせず、財政的な心配もなく、1年休んでも、おかしな待遇をうけることなく、職場に笑顔で戻れるような環境をつくっていくこと」は理解されている。続く、「慌てず0歳から保育園にいかなくても、1歳や2歳からでも保育園に入れるスキーム(枠組み)をつくっていくことが大事なんじゃないでしょうか」の部分も正論だ。男女を問わず、さまざまな状況で子育てをしている多くの人が安心して働くことができる環境や枠組みをつくっていくのが政治家の仕事である。子どもを3歳から預けようが、0歳から預けようが、そこに上下も善悪もないはずだ。

萩生田光一氏

 だが、萩生田氏は「待機している赤ちゃんを救済していくのは大事なこと」としつつも、「0歳の赤ちゃんは生後3~4カ月で赤の他人様に預けられることが本当に幸せなのでしょうか」と疑問を呈している。他人に預けられている0歳の赤ちゃんは「本当に幸せ」ではないと言わんばかりだ。

「どう考えたってママがいいに決まってるんですよ」

 産婦人科医の宋美玄氏は「政治家にできることは価値観を声高に述べることではなく、様々な状況下で子育てする人たちにとって頼れる場所を確保することだと思います」と萩生田氏の発言を批判している(YOMIURI ONLINE 5月31日)。また、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏は「発言は働く母親に家にとどまれとプレッシャーをかけることになり、父親から子育ての権利を奪うことになる。受け入れがたい」と強い調子で批判した(BuzzFeed NEWS 5月30日)。

 萩生田氏は「はっきりとした統計はありませんけど、どう考えたってママがいいに決まっているんですよ」と語っていたが、全国父子家庭支援ネットワーク代表であり、自らもシングルファザーである村上吉宣氏は「母親に限らず、父親も祖父母も里親も子供と愛着形成できる。これは精神医療の中で証明されている」と指摘している(毎日新聞 5月28日)。正しい統計がなくても主義や主張を押し通すのは現在の政権の特徴か。

加藤寛治 自民党・衆議院議員
「新郎新婦には、必ず3人以上の子どもを産み育てていただきたい」

NHK NEWS WEB 5月27日

 5月10日、自民党細田派の会合に出席した加藤寛治衆議院議員は、人口減少問題に関連して「新郎新婦には、必ず3人以上の子どもを産み育てていただきたい。結婚しなければ、ひとさまの子どもの税金で老人ホームに行くことになる」などと発言して批判を浴び、その後、謝罪して撤回した。

加藤寛治氏 ©時事通信社

 ところが27日、長崎市で開かれた自民党長崎県連の定期大会で発言に至った経緯を説明した折、「わが国は、民主主義国家だから批判も甘んじて受けなければいけないが、それ以上の賛同と激励をいただいたことも事実だ」とコメント。また、野田聖子女性活躍担当大臣が「そういうことを言ったから子どもが産まれるということではない」などと批判したことについては、「全国から多数の賛同が寄せられていることを考えると批判は当たっていないのではないか」と反発した。訂正も謝罪も本意ではないということだ。

 ちなみに加藤氏のキャッチコピーは「6人の子を持つ日本のお父さん」である。

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