衆議院で来週にも採決の可能性がある「働き方改革関連法案」。安倍晋三首相は今国会の最重要法案と位置づけるが、さまざまな問題点も指摘されている。あらためて「働き方改革」についての発言を集めてみた。

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安倍晋三 首相
「労働基準法制定以来70年ぶりの大改革だ。法案成立に向け、安倍政権として全力を結集していく」

産経ニュース 4月27日

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 4月27日、衆院本会議で働き方関連法案についての質疑が行われ、今国会での法案成立に全力を挙げると表明した。

 法案は、残業時間の上限規制や、高年収の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」創設などが柱。正社員と非正規労働者の処遇の格差を解消する「同一労働同一賃金」の導入も盛り込んだが、裁量労働制の適用拡大については厚生労働省の不適切データ問題を受けて削除した。

働き方改革実現会議で、安倍晋三首相、加藤勝信厚労省ら 

佐戸未和さんの母・恵美子さん
「労災申請さえもできなくなり、死人は増えても過労死は減るという事態が起こる。死んでも自己責任で片付けられ、苦しむのは残された遺族だ」

毎日新聞 5月16日

 4過労死の遺族などでつくる「全国過労死を考える家族の会」や日本労働弁護団などは5月16日、働き方改革関連法案のうち、高プロ制の導入は認められないとして法案から削除するよう求める緊急共同声明を発表した。 高プロ制は年収1075万円以上の専門職を労働時間規制から外すもの。企業に労働時間の管理義務がないことから、労災申請時に必要な労働時間の証明が難しくなると指摘されている。夫を過労自死で亡くした家族の会の寺西笑子代表は「再三、反対しているのに、来週にも強行採決されようとしている」「当事者の声を聞いて、これ以上、悲しい遺族を作らないでください」と訴えた(弁護士ドットコムニュース 5月16日)。

 2013年に過労死したNHK記者の佐戸未和さんの母・恵美子さんは冒頭のように語るとともに、「労働者派遣法が施行後、ほぼ全職種に広がったように、(高プロ制でも)対象年収や職種が拡大される恐れがある」と懸念を語った。

17年11月、過労死した佐戸未和さんの遺影の前で、再発防止を訴える母恵美子さんと守さん ©共同通信社