昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載尾木のママで

長野県立大、松本大、花園大……キラリと光る地方大学

尾木のママで

2018/06/29
イラスト 中村紋子
イラスト 中村紋子

 教師や指導者による体罰やパワハラ、いじめなど教育者のひどい実態の報道が止まない。そんな中、偶然にも新しい「教育者の養成」を打ち出した地方の三大学で講演する機会をいただいたの。

 今年四月に開校した長野県立大学は、「学習県」を目指す知事の目玉政策の一つ。キーワードは「リーダー輩出」「地域イノベーション」「グローバル発信」。一年次は全寮制で学ぶ姿勢や協調性、コミュニケーション能力を育む。二年次は全員参加型海外研修で語学と異文化・専門分野への知見拡大に繋げる。小規模大学であることと長野の自然を強みにし、「健康発達学部」の「こども学科」ではきめ細かく、人間力の高い教育者を育てる。

 同じ長野県の松本大学は去年、「教育学部学校教育学科」を新設。「地域と共に創る教育の未来」を合言葉に「実践力・人間力を備えた教員」育成を目指す。地元の教育現場での実習や海外研修に力を入れる。

 京都の花園大学では、来春「発達教育学部発達教育学科」が創設される。興味深いのは「エデュケア(教育+福祉)」の担い手を作るとうたう点。たとえば学校で臭う子がいたら、間違っても「お風呂に入れよ」と指導するのではなく、家庭の「貧困」、親の「虐待」を想起し動ける教員を育てる。

 三大学に共通するのは、子供の「多様」な「発達」を踏まえた教育者の育成を目指す点。2020年の教育大改革を控え、教育課程も改変が進む一方、いじめや体罰、ブラック部活……と学校教育を巡る状況に改善の兆しは見えない。これらの問題は、学校現場や教育者、国や社会に子供の発達特性や多様性への正しい知識・理解が欠如していることに起因している。保育士や教員不足も深刻な今、これらの大学の始動に期待したい。

 地域に密着し社会の要請に応えようとする姿勢は、大学改革のモデルとして注目に値する。応援してるわ!