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「田母神論文事件」から10年 本人が語る「痛恨の記者会見と“おっぱっぴー”」

元航空幕僚長・田母神俊雄2万字インタビュー #3

2018/10/19

genre : ニュース, 政治

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「自衛隊は戦争に勝つために存在している」その理由

――左翼の人には逆に「保守のほうがお金がある」と主張する人もいますね。日本青年会議所(JC)ですとか、それこそ日本会議だとか、バックアップしてくれる母体があると。

田母神 それは一部の保守でしょう。沖縄で勤務していた時代に何度も遭遇しましたけど、反戦運動、反自衛隊運動、沖縄にわざわざ来ている人も中にはいたようですが、あれは参加者の本人負担ではないですよ。お金の出所があるはずで。

 

――今、反自衛隊運動という言葉がありましたが、最近の自衛隊のイメージはそれから大きく変わってきていないでしょうか。たとえば東日本大震災をはじめとした災害が多いこともあってか、「救助活動をしたいから自衛隊を志願する」、そういう若者も多いと聞いたことがあります。

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田母神 そうですね。それはそれでいいことだと思います。ただ一方で、自衛隊は戦争に勝つために存在しているのです。精強な軍であれば敵は日本に侵攻しようとは思わないのです。強い自衛隊が戦争を未然に防ぐことが出来ます。繰り返しになりますが、これが抑止力です。ですから自衛隊は国の命令があればそれに応じられる戦闘力を保持するよう訓練に精励することが必要です。そしてその能力が災害の時、人命救助にも役立つのです。

 また自衛隊の精強さとともに、自衛隊が効果的に行動できるようには憲法改正を含めた法律面の処置も必要です。平時から自衛隊が国を守るために行動できるようにしておくことが国を守る基本です。

――そういった意味で、これからの自衛官に送るメッセージはありますか。

田母神 結局、人間は心構えですよ。さっき言った、果たして戦闘の正面に立てるのか、という問題も心構え次第です。そもそも日本は日露戦争が終わってから大東亜戦争まで、大した戦争を経験しなかった。戦った経験のない人が大東亜戦争を戦うことになったわけです。だから、いざとなれば人間、心構えでなんとかなる。そして、その心構えを作る自衛隊の教育システムは本当に優れていますよ。

私みたいな人が増えればいいと思ってますよ

――以前に比べて、自衛隊は海外での仕事も増えていると思います。苛酷な任務でPTSDなど、心に傷を負ってしまう人も増えるのではと考えられます。そのあたりも対応できるものでしょうか。

田母神 もちろんこの仕事は、多少なりともストレスがかかります。命を懸けてやる仕事ですからね。ただ、自衛隊も組織としてカウンセリングや、そうなってしまった自衛官を救う手立てを構築しています。ですから、よその軍隊に比べて精神的に弱いだとか、そういうことは全くないと思っています。

 

――あえて現在の自衛隊に要望したい改善点があるとすれば何でしょうか。

田母神 使命感教育を充実させて欲しいですね。やはり日本というのは素晴らしい国なんだと。我々の先祖は、この豊かな日本、自由な日本を作るためにこんな努力を重ねてきたんだということを教えるべき。そうすれば、自然とこの国を守る、という意識が芽生えると思うからです。

――まさに歴史観教育もするべきだと。

田母神 そうです、私みたいな人が増えればいいと思っていますよ。