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かつては「薄毛になったら人生おしまい」という人もいたが…いまや薄毛は「治せる病気」。AGAクリニックが語る発毛治療のカジュアル化とは?

かつては「薄毛になったら人生おしまい」という人もいたが…いまや薄毛は「治せる病気」。AGAクリニックが語る発毛治療のカジュアル化とは?

薄毛の進行を抑える薬や、発毛を促す薬が認可され、この20年で急速に広がったAGA(男性型脱毛症)治療。以前は「将来の自分像」や「他人からの中傷」への恐怖など、ネガティブで深刻に捉えられがちだった薄毛に対する考え方も時代とともに変化。より気軽に、ポジティブにAGAクリニックを訪れる人たちが増えているという。AGA治療を始める人たちの最新事情について、業界随一の患者数を誇る銀座総合美容クリニック(銀クリ)に話を聞いた。

カジュアルになった薄毛治療

「最近、薄毛治療始めたんだよね」「へぇ、そうなんだ」

今ではそんな会話が普通になったAGA治療だが、ほんの15年ほど前までは治療を始めるには一大決心が必要で、人目を忍んで医療機関の門をくぐる人が少なくなかったようだ。

「当時、薄毛には、“カッコ悪い”、“女性にモテない”、“他人にバカにされる”といったイメージがつきまとっていました。そのため極端に言えば、“薄毛になったら人生はおしまい”と考える人も多く、特に若いうちに髪の毛が薄くなり始めると、将来の自分の最終像を想像し、恐怖すら感じて気持ちが塞いでしまう人も少なくありませんでした。さらに、自分が薄毛に悩んでいることすら他人に知られたくないという思いもあり、悩みに悩んだ末、やっとの思いで他人に知られないように受診するケースが多数を占めました」と銀クリの担当者は言う。

かつては薄毛について話し合う機会も珍しかった ※写真はイメージです ©PIXTA
かつては薄毛について話し合う機会も珍しかった ※写真はイメージです ©PIXTA

変化が訪れたのは2010年代に入ってから。きっかけは製薬メーカーがテレビコマーシャルで「AGAは医師に相談」と謳ったこと。それにより、AGAは「治せる病気」だとの認識が広まり、医療機関の受診自体へのハードルが下がった。さらに最近では、いつまでも若々しく健康的でありたいという“ウェルエイジング”の考え方が浸透してきたことで、AGA治療はより身近な医療になってきた。今では「薄毛になったら治せばいい」「よりカッコ良くするために」と考える人も多くなったという。「例えば婚活前に治療を受ける方や、配偶者から気軽に試してみたらと言われてご夫婦で来院される方など、今ではプチ整形やシミ取り治療を受けるのと同様の感覚で受診される方も増えています」(同前)。

年齢によって悩みや必要性は変化する

そもそもAGAとは主に成人男性に起こる進行性の薄毛や抜け毛のこと。男性ホルモンの働きが関与しており、思春期以降に生え際や頭頂部の髪の毛などが薄くなっていく。日本人男性の場合20代後半から30代にかけて症状が顕著になり、徐々に進行。発症頻度は20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40数%と、年齢とともに高くなる(日本皮膚科学会、「男性型び女性型脱毛症診療ガイドライン」)。

「お悩みのピークは30代ですが、20〜60代まで幅広い患者さんが受診されます。一方で、患者さんの年齢や社会的立場などにより、治療に対する必要性やゴールが各自違うことも治療のポイントです。若い人ほど、より高い効果を求め、50代以降ではむしろ緩めのゴールを設定されます。もちろん、今でもカジュアルな動機だけでなく、深刻な思いを持って受診される方もいらっしゃいます。いずれの年代、いずれの思いを持った方でも効果的に、満足のいく治療を受けるには、まず治療開始時に自分が目指す髪の毛の状態や髪の毛に対する思いなどについて、医師と十分に話し合っておくことが欠かせません。ここで医師と共感を持つことが、スムーズに治療を進めるカギになるのです」と銀クリはカウンセリングの重要性を強調する。

若くして薄毛に悩む男性は意外と多い ※写真はイメージです ©PIXTA
若くして薄毛に悩む男性は意外と多い ※写真はイメージです ©PIXTA

薄毛治療は「一生涯の髪の毛のコンディショニング」

「AGA治療では、主に薄毛の進行を抑える治療薬と、発毛を促す治療薬を使います。患者さんの多くは、すぐに効果が現れることを期待しますが、実はそこに落とし穴があります。最終的な効果が出る人ほど、最初の3カ月間は目に見える効果がないだけでなく、逆に抜け毛が増えることもあるからです」(銀クリ)

これは、髪の毛の生え変わりのサイクルに起因する現象。発毛を促す薬は、毛髪を作り出す毛母細胞を刺激して細胞分裂を活発にする薬だが、その作用のおかげで最初は抜け毛のサイクルも短くなり、抜け毛が増える。

「まずはこうした“理屈”を理解してもらうことが、効果的な治療の第一歩。治療では継続して服薬を続けることが重要ですが、患者さんにとってそれは忍耐のいる作業。効果があればこそ続けるモチベーションにもなりますが、最初の3カ月間に変化が見られないと、焦りが出るばかりでなく、医療機関への不信感から治療をやめてしまう可能性もあります。だからこそ、初診時のゴール設定や十分な説明とともに、月に1回の診療での“経過の共有や不安の解消”が治療を継続する上で大切なのです」(同前)

同クリニックでは、こうした患者の不安を払拭するため、丁寧なカウンセリングを行うのはもちろんのこと、医師によるきめ細かい頭皮の状態のチェックや、専用のスキャナーを使った頭皮の画像撮影も行うという。同クリニックでは「自分では毎日見ているからこそ、逆に変化に気づきにくい面があります。診察開始時、3カ月後、6カ月後などの状態を画像でチェックできることは、効果の確認や治療継続へのモチベーションにつながるのです。治療半年後に、友人から“最近髪の毛の調子がいいね”と言われ効果を実感するケースもあるようです。いかに本人に気づいてもらえるかも医療機関の腕のみせどころでしょう」と説明する。

銀座総合美容クリニックの待合室。スタイリッシュな内装も好評だ
銀座総合美容クリニックの待合室。スタイリッシュな内装も好評だ

また、同クリニックでは、その人の髪の毛の状態や治療の経過に応じて、薬の濃度を変えたり、一時休薬したり、きめ細かい治療を行うという。「AGAの薬は元々高血圧や前立腺肥大の薬として開発されたもの。体の負担を考えれば、同じように使い続けるというより、状態に合わせて“調節する”のが望ましいのです。それは効果をより期待するという意味でもそうですし、発毛した髪を適切にコントロールするという意味でも同様です。薄毛治療は“一生涯の髪の毛のコンディショニング”と考えるといいでしょう」(同前)。

適切なシャンプーは頭皮の状態を整えるには○だが…

AGAクリニックを受診する前には、シャンプーなどの商品を試す人も多い。しかし「発毛効果が医学的に検証されているのは、医薬品だけ。効果を得たいのであれば、医薬品による治療を行える医療機関へ相談するのがいいでしょう。とはいえ、シャンプーなどで頭皮の環境を整えることは悪くありません。特に、将来の薄毛が気になるけれども、まだ薄毛にはなっていない人に向いていると言える。その際重要なのは、刺激が強く頭皮にダメージを与えるようなものを使わないことです」と銀クリ担当者はアドバイスする。

ただし、シャンプーやヘアケア用品で頭皮ケアをしているからと安心しすぎるのはNG。「AGAは進行性の疾患。発症すると、時間の経過とともに抜け毛や薄毛の症状が進んでしまいます。AGAでは、通常のヘアサイクル(毛周期)の5倍以上の早さでめまぐるしく髪の毛が生え変わります。一方で、髪の毛を作り出す毛母細胞は無限に分裂できるわけではないため、時間の経過とともに髪の毛を作り出す“力”は弱くなり、最終的には毛を生やすことができなくなってしまいます。ヘアケア用品で対処しているから大丈夫と過信していると、どんどん症状が進んでしまうことにもなりかねません」と銀クリでは注意を促す。

「抜け毛の量が増えたと感じる」「数年前の自分と比べて額が広くなってきた」「つむじの地肌が目立つ」「髪の毛のハリやコシがないと感じる」「髪の毛が細くなった」「全体的にボリュームが減った」「血縁関係のある親戚に薄毛の方がいる」――。もしこれらのうち複数の項目が当てはまるようなら要注意。薄毛の原因は、AGAだけではないので、まずはAGAかどうかを医療機関で適切に診断してもらうことが肝要だ。その上でAGAだとわかれば、できるだけ早く治療することが、その後のスムーズな発毛や育毛につながる。

早期発見、早期治療が重要なAGA治療。治療を受けるには、適切な診断ができるのはもちろんのこと、自分の悩みに寄り添い、十分なカウンセリングを受けられ、きめ細やかな薬の処方を行える医療機関を選ぶのがポイントになる。最近ではオンライン診療の手軽さだけをアピールする施設もあるが、オンライン診療に加えて手厚い対面診療の技術を併せ持つ医療機関を選ぶのが、効果という意味でも副作用に対する慎重なケアという意味でも薄毛治療成功の秘訣といえよう。

提供:銀座総合美容クリニック

INFORMATION

銀座総合美容クリニック
公式サイト:https://www.gincli.jp/
(東京院)東京都港区新橋1-9-5 KDX 新橋駅前ビル 4~5階
(大阪院)大阪市北区曽根崎新地1-4-20桜橋IMビル15階
※診療時間(完全予約制)
月・火・木・金・土 11:00~20:00
日・祝 11:00~19:00
休診日:水曜日

料金:初月1000円、2カ月目以降は、AGA治療内服薬2000円~1万9250円(※保険外の自由診療)
相談・予約は東京・大阪共通のフリーダイヤル(0120・972・335)か、公式サイトから