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「『好きにセックスした親のエゴで、たくさん子どもを産んでいる』と…」46歳までに10人を出産した熊本大家族の母が(66)振り返る、39年間の子育て――2022年BEST5

岸大家族インタビュー#2

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長男が学校からもらった「善行賞」

――英治さんは子育てをする中で決めていたことはありましたか。

英治 大切にしてきたことは「のびのび育てること」と「人を絶対にバカにしてはいけない」ということです。どんな人も平等であるということを家庭の中で教えてきました。

 だけど、他のことも全て完璧にしろというのは無理な話で。隣近所に大変迷惑をかけたこともありますし、子どもたちにも得意不得意があります。私がしてきたのは、完璧を目指すことではなくて、自分が生きてきた中で「これだけはしてほしくない」ということだけをずっと伝えることでした。

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信子 夫はベビーカーを持ったお母さんが階段を登っていたら、何にも言わずにスッと助けに行く人なんです。エンストしている車があったら、雨が降っていても「大丈夫ですか?」と声をかけにいく。言葉で伝えることも大切ですけど、英治くんは行動で見せてくれる部分も多いんです。

英治 長男が小学6年生の時に登校班の班長をしていたことがあって、その班に入った少し障がいのある1年生の子が、長男の帽子を田んぼに投げたり、傘で突っついたりしていたみたいなんですが、長男は何も言わずに毎日学校まで連れて行っていたようで。それを見た近所の人が学校に電話したんです。「あの子はどんなことがあっても怒らずに、みんなをちゃんと送り届けていますよ」って。そしたら学校から「善行賞」をいただきました。

 特別何か教えたわけでも、こうしなさいと言ったわけでもないんですが、私たちの行動から何か感じてくれたのかなと思ってすごく嬉しかったです。

男3人焼き鳥屋にて、気まずい沈黙が続く… 映画『人生ドライブ』より © 2022 KKT 熊本県民テレビ

家の中では優しい言葉を使うように

――英治さんの背中を見て育っていたんですね。素敵なエピソードです。テレビの放送を見ているとみなさん言葉遣いがすごく丁寧な印象がありますが、何か教えていたことがあるのでしょうか。

英治 「バカ」という言葉は使わないように言っていました。家で子どもが「バカ」と言ったら、「ちょっとおいで」って別の部屋に連れて行って、「なんでバカって言うと? バカの子はいない。誰も絶対にバカじゃない」って言っていたので。

信子 家庭内では、なるべく汚い言葉は使わないようにしようと心がけていました。外では乱暴な言葉や悪い言葉、汚い言葉を聞くことはあるかもしれないですけど、家の中では、優しい言葉が使われてる環境にできたらいいなって。