ネット全盛の現代。良質な映像コンテンツを楽しむほか、コロナ禍を経て、オンライン会議や授業で自分の映像や画像を配信する機会も増えた。その一方で、「ネットが遅くて動画が途切れる」「画面にグルグルのマークが頻繁に出て待たされてしまう」といった悩みを持つ人も多いのではないだろうか。

 かく言う筆者も、Wi-Fiのルーターを置いている2階のリビングでスマホを使う分には問題ないものの、3階の書斎でネット会議をする際には、映像にノイズが入って“ガビガビ”になることがしばしば。また、2階にある風呂場までは電波が届かず、せっかくのリラックスタイムに動画が見られないことにもストレスを感じていた。

©Aflo
©Aflo

 こういった悩みを改善しようとする際、まずは契約しているネット回線を見直そうと思う人も多いだろう。しかし、その原因の多くは、実はWi-Fi機器にあることも多い。この数年でも急速に機能が増えたスマホ同様、Wi-Fi機器も日々進化を遂げている。メーカー各社からは最新のWi-Fiルーターが毎年のように発表されており、増加するネット使用量に合わせた“機種変更”はもはや必須なのだ。

 また、2022年以降に発売されたスマホの大半は、2022年9月に認可された「Wi-Fi 6E」に対応しており、以前のWi-Fi 6より混雑の少ない快適な6GHz帯でWi-Fiが利用できる。しかし、いくらキャッチャーが上手くてもピッチャーが遅い球しか投げられなければ“宝の持ち腐れ”。同じように、いくら最新の高価格なスマホやタブレットを持っていても、自宅のWi-Fi機器が古い規格のままだとその性能は発揮できず、これまでと同じ速度でしか通信できない。

 我が家もそろそろ買い替えどきか……と思いながら各社のWi-Fiルーターを調べていると、異彩を放つある製品が目に止まった。ネットギアジャパンが昨年11月に発表した「Orbi 9」だ。同社のホームページに記載されている「スターターキット 3台セット」の直売価格はなんと250,600円……他社のルーターに比べると桁が1つ、物によっては2つ違う。一体何がそこまでの差を生み出しているのだろうか。話を聞くためにネットギアジャパン社へ向かうと、マーケティングを担当する添田絢也氏が出迎えてくれた。

ネットギア社の高速メッシュWi-Fiシステム「Orbi 9」
ネットギア社の高速メッシュWi-Fiシステム「Orbi 9」

 日本ではあまり知名度のないネットギア社だが、米国ではネットワーク機器のシェア1位(※1)を誇る大企業だ。シリコンバレーに本社を置き、AppleやGoogleの“お隣さん”でもある。

※1 NPD Group/Weekly Retail Tracking Service, U.S. 調べ
対象製品:ネットワーク機器、スイッチ 対象期間:2022年1月2日~2022年4月2日までの合計売上(USドルベース)

「Orbiシリーズは、シリコンバレーの最先端技術を詰め込んだネットギア独自の『メッシュWi-Fiシステム』です。その中でも最上位機種の『Orbi 9』はWi-Fi 6Eに対応したモデルで、27年間ネットワーク機器ひと筋でやってきたネットギアの知見の結晶と呼べると思います」とは添田氏。

 メッシュWi-Fiとは、ルーターの親機と「サテライト」と呼ばれる子機を使って電波のムラをなくすシステムだ。一般的なWi-Fiルーターは設置しているリビングで快適に使えても、ドアを隔てたトイレや風呂場では速度が遅くなりがちだが、そういった場所にサテライトを追加することで、高速Wi-Fiのエリアを広げられる。

「ネットギアの『Orbi 9』は、独自設計のアンテナにより、1台あたり279㎡もの範囲をカバーすることができます。ただ、電波は風と同じく壁やドアなどの障害物にはどうしても弱い。エアコンをリビングに1台だけ設置しても家全体に風を届けることはできないように、Wi-Fi機器も複数台設置することが快適な生活に繋がるのです」(同前)

親機とサテライトの組み合わせで家全体をカバーできる(イメージ)
親機とサテライトの組み合わせで家全体をカバーできる(イメージ)

 他社の製品にもメッシュWi-Fiを使用したものはあるが、Orbiシリーズの大きな違いは、サテライトとルーター間の通信(バックホール)を“専用帯域”にしていることだ。

「バックホールが専用帯域になっていないと、“流しそうめん”のようなイメージで、親機に近いデバイスがどんどん電波を使ってしまい、離れたサテライトまで十分な電波が行き届かない。親機とサテライトの接続を他のデバイスと分けた帯域にすることで、サテライト側でも親機の近くと同様に快適にネットを使うことができるんです。これはネットギアが特許(※2)を取得している技術です」(同前)

※2 特許番号:10278179 JUSTIA PATENT

接続するデバイスが増えるとサテライトへの電波が弱くなってしまう共有バックホール(左)に対し、専用バックホールは親機とサテライトの間の電波が保たれているため、サテライト側でも快適に使用できる
接続するデバイスが増えるとサテライトへの電波が弱くなってしまう共有バックホール(左)に対し、専用バックホールは親機とサテライトの間の電波が保たれているため、サテライト側でも快適に使用できる

特許技術を搭載したOrbi 9についてはこちら

 Orbiシリーズのサテライトには有線LAN用コネクタもあるため、どうしても電波の通りづらいコンクリートなどで仕切られた部屋には有線で接続することもできる。「スターターキット 3台セット」にはサテライトが2台付属しているが、別売のサテライトを増設すれば、さらに高速Wi-Fiエリアを拡大することも可能だ。

「近年普及してきた最大10Gbpsの高速回線や、光回線などでも使われている最新方式『IPv6(v6プラス)』にも対応しているので、契約や工事さえ完了すれば、近い将来に標準となる回線のスペックを今のうちからフル活用できます」(同前)

 添田氏の熱弁を受け、我が家でも実際に「Orbi 9」を使用してみた。

筆者宅の間取り図。2世帯住宅のため、壁やドアといった電波の障害物が多い。2階のリビングに親機を、さらに4台のサテライトを赤い丸で示した箇所に設置した
筆者宅の間取り図。2世帯住宅のため、壁やドアといった電波の障害物が多い。2階のリビングに親機を、さらに4台のサテライトを赤い丸で示した箇所に設置した
カラーは白と黒の2色展開。ルーターの設置には別売の壁掛け用マウントキットを利用した(左)。デザイン性が高く、生活感を感じさせない雰囲気も魅力
カラーは白と黒の2色展開。ルーターの設置には別売の壁掛け用マウントキットを利用した(左)。デザイン性が高く、生活感を感じさせない雰囲気も魅力

 まず感動したのは、スマホでネットを使う際の“サクサク具合”だ。「Orbi 9」はWi-Fi 6Eに対応しているので、最新スマホの性能を存分に発揮し、8Kや4Kの動画もサクサク見られる。何台かで同時に視聴しても家のWi-Fiが混雑することもなく、最新のWi-Fi機器を導入したという実感がすぐに湧いた。

 次に驚いたのはその“賢さ”だ。親機を設置したリビングから別室に移動すると、まずは電波が途切れないよう「切れにくいが速度が遅い回線」でスマホと接続。しかし移動先で立ち止まると「できるだけ速い回線」に切り替わる。スマホのWi-Fi電波の強弱を示すアンテナの数を見ていると、Orbiが速い帯域を確保したり、帯域の安定性を保とうとして、アンテナの数が上がり下がりを繰り返している。Orbiは一生懸命に安定性と高速帯域の塩梅を見極めているのだ。こうしたスマートな回線の切り替えによって、従来は電波が安定しなかった風呂場や書斎でもスムーズにネットを使うことができた。

「電波強度」のアンテナの数と「周波数」に注目。移動を始めると、回線が安定する5GHz(または2.4GHz)に周波数を落として安定性を確保(左)。立ち止まると再び6GHzの高速周波数に切り替え、アンテナの数もMAXで安定した状態になる(右)
「電波強度」のアンテナの数と「周波数」に注目。移動を始めると、回線が安定する5GHz(または2.4GHz)に周波数を落として安定性を確保(左)。立ち止まると再び6GHzの高速周波数に切り替え、アンテナの数もMAXで安定した状態になる(右)

 また、3階建ての我が家では、これまでWi-Fiが途切れる悩みをなるべく無くそうと、いくつもの中継器(アクセスポイント)を増設していた。しかし、メッシュWi-Fiでないと部屋や階を移動するたびにSSID(接続するネットワーク)を切り替えなければならず、特にロボット掃除機は“その階専用”の状態に。面倒くささのわりに速さも改善されないでいた。

 その点Orbiなら、サテライトを何台追加しても、SSIDはひとつ。部屋や階を移動してもいちいち切り替える必要はなく、1階のロボット掃除機を3階に持って行ってそのまま使うことができる。小さなポイントではあるが、毎日のストレスが解消されるのは大きい。

Orbiを導入する前の筆者宅のルーターや中継器表示の一部(左)。電波の通りが悪く各階の東と西に中継器を設置していた。Orbiに乗り換えたらスッキリ(右)。どこの部屋からでも「TechDOC_Orbi」に接続するだけだ(「TechDOC-IoT」はOrbiのIoT家電専用のSSIDとして設定)
Orbiを導入する前の筆者宅のルーターや中継器表示の一部(左)。電波の通りが悪く各階の東と西に中継器を設置していた。Orbiに乗り換えたらスッキリ(右)。どこの部屋からでも「TechDOC_Orbi」に接続するだけだ(「TechDOC-IoT」はOrbiのIoT家電専用のSSIDとして設定)

 さらに中継器が複数ある場合はそれぞれに個別の設定が必要だが、Orbiならその必要もない。子どもに不適切なWebサイトの遮断やセキュリティ設定もすべて一元管理できる。しかも、初期設定から日々の運用まで、スマホのアプリから管理することが可能だ。外部からの攻撃や侵入、疑わしいWebサイトへのアクセスを遮断するセキュリティ機能(NETGEAR Armor)が利用可能(※3)なので、Wi-Fiに接続するすべての機器が一括で守られているという安心感も嬉しい。

※3 Orbi 9ではNETGEAR Armorが30日間無料で利用可能。無料期間終了後は、年額8,990円のサブスクリプションが利用できる。

 とはいえ、数年前のスマホを使用していたり、家の広さを考えると「Orbi 9」ほどのスペックは必要なさそう……と感じる人もいるかもしれない。しかし、そういった点を差し引いても、親機とサテライトの専用バックホールによる快適さや、スムーズな帯域切り替えによる安定性といったOrbiシリーズ独自の技術は、他社製品とは比較できない。Wi-Fi 6Eには対応していないが、よりリーズナブルにOrbiシリーズの品質を取り入れられる1ギガ回線に対応したエントリーモデル「Orbi 7」や10ギガ回線対応の「Orbi 8」を検討するのも選択肢のひとつになりそうだ。

 

Orbi 9 スターターキット ブラックエディション

[3台セット]

RBKE963B-100JPS

250,600円(税込)

詳しくはこちら

Orbi 8 スターターキット ブラックエディション

[3台セット]

RBK863SB-100JPS

159,600円(税込)

詳しくはこちら

Orbi 7 スターターキット

[3台セット]

RBK763S-100JPS

80,700円(税込)

詳しくはこちら

提供/ネットギアジャパン合同会社