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【警視庁が「事件性認めない」捜査結果を検察に送付】《記者会見詳報》「断言する。これは殺人事件。被害者が可哀想だ」木原誠二官房副長官の妻を担当した取調官・佐藤誠警部補が語ったこと

source : 週刊文春

genre : ニュース, 政治

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 木原誠二前官房副長官(53)の妻X子さんの元夫・安田種雄さんの"怪死事件"通称「木原事件」をめぐり、12月15日に警視庁が事件性は認められないとする捜査結果を東京地検に送付したことを16日、報道各社が報じた。事件をめぐっては今年10月、種雄さんの遺族が再捜査を求めて刑事告訴を行い、警視庁による"再々捜査"が行われていた。

 しかし、X子さんの聴取を担当した元取調官の佐藤誠氏は「事件性はある」と繰り返し断言している。佐藤氏が「週刊文春」に実名で告発した記事のスクープ速報を再公開する。(初出:文春オンライン 7月28日掲載 年齢・肩書きは掲載当時のまま)

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 2018年に再捜査が始まった、木原誠二官房副長官の妻X子さんの当時の夫、安田種雄さん(享年28)の“怪死”事件。X子さんの取り調べを担当したのが、警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係の佐藤誠警部補(当時)だ。

木原誠二官房副長官 ©共同通信社

 7月28日、その佐藤氏が都内で記者会見を開いた。会見場には140人を超える報道陣が殺到。会場が満員で入れず、急きょ会場側が用意したライブ配信用モニターで会見を見守る記者も多かった。

 1983年に警視庁に入庁し、昨年退職した佐藤氏。問題視しているのは、7月13日に開かれた、露木康浩警察庁長官の定例会見での発言だ。露木氏は種雄さんの不審死について、「適正に捜査が行われた」「事件性は認められない」などと説明していた。

 会見冒頭で、佐藤氏はこう述べた。

記者会見に臨んだ警視庁捜査一課殺人犯捜査第一係 元警部補・佐藤誠氏 ©文藝春秋

「断言する。これは明らかに殺人事件だ。それを『事件性がない』と言うのは、被害者が可哀想だ、と思った。だから文春の取材にも応じた。『退職した警察官がべらべら喋るほうが怖えじゃねえか』という意見もあるかもしれない。ただ、俺は『被害者が可哀想』と思っちゃったんだ」

「終わり方が異常だった」

  2018年10月上旬からX子さんの取り調べをスタートさせた佐藤氏。だが、10月下旬に突如、上司だった佐和田立雄管理官(当時)から「明日で調べは終わるぞ」と告げられたのだ。

「終わり方が異常だった。殺人事件は時効がないので、自殺(と結論づける)か(犯人を)捕まえるか、どちらかしかない。灰色はない。10月24日から国会が始まるというのはあったが、12月に国会が閉会すれば再開すると思っていた。しかし、全く再開する様子もないまま自然消滅した」(佐藤氏)