グローバル金融サービス・グループの野村ホールディングスは、金融を中核とする事業や培った知見を生かし、サステナビリティに貢献していく。

リスクマネーの循環を通じて課題解決に貢献

岸田吉史氏
野村ホールディングス 執行役員
チーフ・サステナビリティ・オフィサー 兼 情報開示担当
岸田吉史氏
野村ホールディングス 執行役員
チーフ・サステナビリティ・オフィサー 兼 情報開示担当

 野村ホールディングス(以下、野村グループ)は2024年、「金融資本市場の力で、世界と共に挑戦し、豊かな社会を実現する」とのパーパス(存在意義)を策定した。これは持続可能な社会を目指す潮流と一致する。

「金融はリスクマネーの循環を通じて社会課題の解決に貢献できる分野であり、サステナビリティへの取り組みもリスクマネーの循環の一つ。ビジネスを通じた貢献と同時に、私たち自身がサステナブルな存在であるべく環境負荷低減などにも努めています」

 野村ホールディングスチーフ・サステナビリティ・オフィサーの岸田吉史氏は、同社の基本姿勢をこう説明する。取り組みをより詳細に伝えるべく、2024年には初となる『サステナビリティレポート』を統合報告書と同じタイミングで公表した。

「財務・非財務両方をカバーする統合報告書とのリンクも意識しながら、サステナビリティ関連の取り組みを集約し、個々の活動をより深くお伝えすることを意識しました」

金融経済の知識が選択の自由を生む

「金融資本市場の力」が生きるのはビジネスだけではない。野村グループでは1990年代から金融経済の知見を生かした金融経済教育に取り組んでいる。

「今では学習指導要領に『資産形成』に関する項目が取り入れられていますが、私たちが金融経済教育を始めた当初は、お金のことを公に話すのははばかられる時代でした。そのような中、20年以上継続して金融経済教育に取り組み、今では子どもから大人まで幅広い年代に切れ目のない金融経済教育を提供しています」

金融経済教育では、楽しみながら為替や株式を学べる。
金融経済教育では、楽しみながら為替や株式を学べる。

 現在、野村グループの金融経済教育は全都道府県をカバーしており、学校向け学習教材の無償提供も担うなど、重要な役割を果たしている。

「私たちの提供する金融経済教育は『投資教育』ではありません。だれもがお金や経済の知識を身に付け、自分の未来を選択、判断する自由を持った状態『ファイナンシャル・ウェルビーイング』の実現のための教育です。他の企業や団体とも連携し、金融経済教育を広げていきます」

イノベーション創出を積極的に後押し

 社会課題の解決を前に進めるべく、野村グループではインパクトスタートアップの支援などを通じて、イノベーション創出を後押ししている。起業家らと交流を深めるほか、資金調達面では新しいファイナンススキームも積極的に活用。また、野村ファーム北海道では、農業分野のインパクトスタートアップと連携し、脱炭素に関する実証実験を推進中。

多くの起業家らが集ったインパクトスタートアップ協会と野村證券の共催イベント「IMPACT CAMP2024」。
多くの起業家らが集ったインパクトスタートアップ協会と野村證券の共催イベント「IMPACT CAMP2024」。
野村ファーム北海道での、土壌改良資材「宙炭(そらたん)」を使ってトウモロコシを栽培した実証実験。
野村ファーム北海道での、土壌改良資材「宙炭(そらたん)」を使ってトウモロコシを栽培した実証実験。
衛星データとAIを生かしたソリューションで、土質改善による環境負荷軽減効果などを測定する。
衛星データとAIを生かしたソリューションで、土質改善による環境負荷軽減効果などを測定する。

「さまざまな社会課題を乗り越え、多様な豊かさを実現する力が、金融資本市場には備わっていると信じています。私たちの強みを生かして、金融資本市場の力で、持続可能な社会を実現します」


『サステナビリティレポート』はこちらからご覧いただけます。

『サステナビリティレポート』はこちらからご覧いただけます。

photo(portrait):Tomosuke Imai
text:Emi Morishige
design:Better Days