既存住宅という社会資産を活かし、ストック型社会の実現に寄与。安心安全と快適性を追求した“住宅の再生建築”を目指していく。
地震に強く、安全な住まいへと再生する
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。大都市直下型の地震によって多くの住宅が倒壊し、たくさんの尊い命が犠牲となった。その後の調査により、築年数の経った住宅に暮らす人の多くが、建物の構造に問題があるにもかかわらず、建築費など様々な理由によって建て替えることができず、不安を抱えたまま生活していることが明らかになった。
大切な命を守るために、住む人が安心して暮らせるように、建て替えなくとも地震に強い住宅に再生する方法はないだろうか――その問いかけから、これまでの住宅業界の常識を打ち破る、一棟まるごとリフォーム「新築そっくりさん」は誕生。1996年の事業開始以来、累計受注数は17万棟を超え、業界トップランナーとしての地位を確立した。
「建て替えと部分リフォームの選択肢しかなかった当時、新築の半分程度の価格で主要な構造部を残してすべてを取り替え、しかも耐震補強まで行うという“まるごと”リフォームには、発表直後から大きな反響が寄せられました」
住友不動産常務執行役員・新築そっくりさん事業本部長の中野誠氏はこう語る。
日本の社会課題と向き合い続ける
日本の住宅の耐震化率は全国で約87%まで進捗したが、古い木造戸建て住宅を中心に、いまだ耐震性の不足する住宅は約700万戸と推計されている。約5000万戸の住宅ストックのうち、耐震性、省エネ性能、バリアフリー性能などについて不十分なものが多くを占めている。
また、既存住宅流通が活発な米国や英国と比較すると、日本の住宅の建て替えサイクルは早く、建設業での産業廃棄物排出量に占める住宅解体の割合は高い。
資源の無駄を抑えるには、スクラップ・アンド・ビルドによる「フロー型社会」から、今ある住宅を長く使う「ストック型社会」への転換が求められる。「人口減少を前提とする中で、将来の世代に承継する良質な住宅ストックを整備していくには、リフォームによる性能向上が欠かせない」と中野氏は指摘する。
とくに近年、力を入れてきたのが住宅の高断熱化。古い家でも、新築の省エネ基準と同等の断熱性能を確保できる「高断熱リフォームプラン」は、まるごとリフォーム受注全体の8割に迫る。
「お客様の住み慣れた住宅の再生を通じて、既存住宅の耐震化と長寿命化、省エネ化を推進し、これからも持続可能な社会の実現に取り組み続けていきます」
News
更なる成長を目指して、「新築そっくりさん」と「注文住宅」の両事業を統合した新会社『住友不動産ハウジング』が2025年4月に設立される。
一棟まるごとリフォーム「新築そっくりさん」
「新築そっくりさん」は建物の基礎や躯体などの主要な構造部を活かすため、住宅を解体・廃棄する建て替えに比べて工事費を抑えられるうえ、廃棄物が少なく環境にやさしい。古い家の耐震性能・断熱性能を高めながら、より快適な住まいへと再生できる。
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photo(portrait):Tadashi Hosoda
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