熊本市北区にある熊本機能病院は、1981年の開院以来、整形外科を中心に、リハビリテーションによる機能回復の治療など、救急から在宅に至るまでの一貫した医療を提供してきた。また、同院は1982年から人工関節置換術を実施し、近年は年間約500例以上の手術を行い、充実したリハビリ体制と手術支援ロボットによる的確な治療で患者の回復をトータルサポートしている。
人工関節センター長 髙橋 知幹(たかはし・ともき)
琉球大学医学部卒業。熊本大学医学部附属病院、熊本市民病院、2005年より熊本機能病院。2015年より現職。日本整形外科学会認定整形外科専門医。
熊本機能病院は2020年1月には、全国6施設目、熊本県初となる人工関節手術支援のロボット「Mako(メイコー)」を導入。これはコンピューター制御されたロボティックアームを用いる先端の技術だ。これにより、人工関節のサイズ設定や設定位置、骨を削る深さや角度などを術前の計画どおりに進めることができ、関節の周辺にある血管や筋肉を温存した手術、的確かつ安全性の高い手術が可能となった。
同院の人工関節センターには6名の医師が所属しており、そのうち5名はMakoを操作できる。これまで、ロボット支援下の人工関節置換術の実績は1900例(2020年1月~2024年8月)を超えた。
先進技術による人工関節手術で、より質の高い治療を目指す
「人工関節置換術において最も重要なことは、人工関節を設置する角度、位置の正確さと固定性です。ロボット支援手術の場合、術前計画をインプットし、そこから少しでも誤差が生じれば自動停止するので、術前計画どおりの手術が可能になりました」と髙橋知幹人工関節センター長は語る。続けてロボット支援手術について「医師が骨を削ったり、人工関節を設置する際にはロボティックアームがサポートを行い、手元がブレたり、術前計画にない範囲や角度、深さの骨を削りそうになったりする際に制御がかかる仕組みになっています」と詳しく説明する。
手術の目的は痛みの除去と運動機能の回復だが、高齢者の中には痛みを我慢し続けることで症状を悪化させているケースがまだまだ多いのが現状だという。
「高齢だからとあきらめずに、少しでも関節の痛みや歩きづらさで困っている場合は気軽に受診いただきたい。まずは患者さんご自身が病気の状態を理解して頂くことが重要。痛みに対してどう対処していくか、患者さんに寄り添った治療に取り組みたい」と髙橋医師。
患者さんの生活に合わせたリハビリを提供
同院のリハビリの最大の特徴は、病期に応じたリハビリを導入している点である。患者の痛みを確認しながら、負担をかけない動き方や日常生活動作(ADL)など、合計160人を超えるリハビリスタッフが365日体制で患者を親身に支える。
「自立歩行の完成が退院のメドといわれますが、私たちが退院の目安としているのは、患者さんの生活事情に合わせたADLの完成です。例えば階段がある家にお住まいの場合には、自力でその階段を上れるようになることを目指します」と髙橋医師。
同院の人工関節置換術は、術後の痛みの緩和や早期回復のために医師やセラピストなどが、患者に寄り添い、機能回復、在宅復帰をチーム医療で手厚くサポートしてくれるのも特長だ。
INFORMATION
社会医療法人寿量会 熊本機能病院
Kumamoto Kinoh Hospital
熊本県熊本市北区山室6-8-1
TEL.096-345-8111
https://www.juryo.or.jp
■診療科目/整形外科、リウマチ科、形成外科、小児形成外科、脳神経内科、リハビリテーション科、脳神経外科、循環器内科、血管外科、内科、放射線科、救急科、外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、麻酔科(今泉隆志)、消化器外科
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