無理な若づくりよ、さようなら。令和のイケオジをめざすなら、キーワードは「年相応」！

「もてたい」という下心がアウト

　ひと昔前までは、若い頃に“イケメン”としてもてはやされた俳優が、年齢を重ねることで渋みを増し、今度は“イケオジ”として女性の人気を博すという光景をよく目にした。

「イケオジという言葉が一般に広まった当初は、“イケオジ＝ちょいワル”というイメージがあったんです」

　そう語るのは、文春オンライン編集部で芸能関係を担当する女性編集者。最近のトレンドにも敏感だ。

「“大人の男”オーラを全面に押し出して若い女のコをエスコートし、夜遊びを楽しむ。平成の一時期、六本木や青山界隈では、シルバーのアクセサリーを身に着けシャツのボタンを3つくらい外した“ちょいワル”おやじがあふれかえっていましたね」

　しかし、それはすでに過去の話、そのような“ちょいワル”おやじは、いわば平成の遺物だという。

「令和の女子は、ワイルドで男らしい色気をあからさまにアピールしてくるような中年男性、いわゆる“ちょいワル”おやじには魅力を感じないんです。ギラギラしている男性にはむしろ好感が持てない。たとえば、玉木宏や竹野内豊といった今人気の中年のイケオジ俳優を見てると、プライベートのイメージや役柄はたいてい愛妻家で家族を大切にするタイプなんです。恋愛を感じさせないというのがポイント。令和の時代では多くの女性に好かれたい“あわよくば……”という下心が透けて見えた時点で、イケてるおじさんとしては失格なんです」

「清潔感」が好感度アップの秘訣

　ギラギラした下心は無いとしても、純粋に異性に好感を持たれたいと思う男性は昔と変わらず今も多いだろう。それは決して悪いことではない。では、周囲の女性に好感を持たれたい令和のおじさんは、どこに気をつかえばいいのだろうか。

「女性が好感を持つポイントは、やはりまずは清潔感ですね。女性から人気の俳優さんにインタビューをしていると、とても清潔感があって、どこからともなくさわやかなフレグランスが漂ってくるような感じがします」（前出・女性編集者）という。

　しかし、ここで多くの中年男性は注意が必要だ。「よし、俺は毎日風呂に入っているし、ちゃんと着替えもしているから大丈夫」と思ったら大間違い。「清潔である」ことと、「清潔感がある」こととは違う。要は、まわりの人からどのように見えるか。周囲から清潔感があるとみられることが大切なのだ。

　そして、周囲の人に清潔感があると感じてもらえる男性になるために、まずすべきなのは「毎日鏡をみて、その日の自分の肌の状態を知り、必要なケアをすること」だと話すのは、男性タレントや俳優との仕事も多いベテランのヘアメイクさんだ。

「まずは洗顔の仕方に気を付けてほしいですね。朝起きて、洗面所でバシャバシャ顔を洗うのは禁物。やさしくそっと洗うだけで、肌の状態は変わってきますよ。そして肌をケアするうえでもうひとつ大切なのは女性と同様に保湿です。洗顔のあと、化粧水をつけたり、乳液をつけたりというのはめんどくさいという男性も多いでしょうから、そんな男性は美容液や乳液など、いろいろな効果をひとつにまとめたオールインワンの化粧水を使うと便利ですよ」

混ざりあった「匂い」に要注意

　また、清潔感を演出するうえで肌のケアと並んでもう一つ大切なのは「香り」だと、前出のヘアメイクさんがアドバイスしてくれる。

「清潔感を出すためには一般的には石鹸の匂いがいいと言われますが、それではどうしても女性的な香りになってしまいます。男性が爽やかさを演出するなら、石鹸の匂いよりもむしろ柑橘系のシトラスの香りとか、森をイメージさせるウッディな香りがいいでしょうね。普段香水をつける習慣が無く、強い香りがどうしても苦手という男性は、髭剃りあとにつける化粧水を好きな香りのものにするだけでもいいと思いますよ」

　そして香りを身につけ清潔感を演出する際、気をつけたいのは匂いが混ざることだ。制汗剤や制汗シートの匂いは残りやすい。それに整髪剤の匂いが混じり、さらに加齢臭が加わると最悪な状態になってしまう。そのような最悪な状態を避けるためには「無香料のものを活用して、好きな匂いひとつだけに絞るのがポイント」だという。またそれとあわせて今回取材したヘアメイクさんは下記のようなアドバイスもしてくれた。

「清潔感という点から考えると、もうひとつ大事なのは眉毛ですね。眉毛がぼさぼさな人がいますが、顔が老けて見えますし、だらしない印象になってしまいます。理髪店に行けばきちんと整えてくれますが、気になる人は眉専門サロンで一度プロにカットしてもらうというのがいいかもしれませんね。男性も利用できる眉の専門サロンはいま増えているんですよ」

素材重視でワンランクアップ

　では次に、女性に好感を持ってもらうためのファッションはどうあるべきか、ビジネスマン向けのファッション誌で活躍する男性スタイリストに訊いてみた。

「大切なのはサイズ感です。自分の体形がどうなのかちゃんと把握して、それにあったものを選ぶこと。デニムはぴったりしたスキニータイプが好きという人でも、お腹が出てきたら上半身と下半身のバランスが悪くなってしまいますから要注意。スキニータイプよりむしろタックのあるゆったりしたスラックスのほうが、体形をカバーできますよ」

　もうひとつ、こだわりたいのは素材だ。

「若いうちなら綿のごつごつしたTシャツでいいかもしれないけど、ある程度の年齢になったら、触ると上質感が伝わってくる、ツヤ感のあるしっとりした素材をおすすめします。ポロシャツも編みの細かいもののほうがいいでしょう。質感にこだわることで、ワンランク上のイケてるおじさんになれますよ」

ヘアスタイルでキャラをつくる

　ここまで話を聞いたヘアメイクさんとスタイリストの二人が口をそろえて言うのは、「変に若づくりするのではなく、自分の年齢を受け入れること」だ。そのうえで、自分にふさわしいキャラを考えれば、スタイルは自然と決まってくる。

「肌のお手入れや体臭のケア、そして眉毛を整えることなどと並んでその人の清潔感を演出するうえで大切なのはやはり髪ですよね。オジサンの髪の話題だとすぐに薄毛がいけないと思いがちですが、実は必ずしも薄毛だからいけないというわけではないんです。髪の毛がうすくても、それを自分のキャラにすることはできます。逆に、薄くなってきたことを気にして、なんとかごまかそうとするほうが好感が持たれません。もし若い時より額の生え際が後退してきたのなら、それを隠すのではなく、逆手にとって自分らしさにしてしまうのはどうでしょう。例えば、髪の毛を後ろに流して額を出せば、年齢にふさわしい知性を感じさせますよね」

　自分がどうありたいのか、どんな印象を与えたいのか、それを考えることがセルフプロデュースの第1歩なのだ。

「髪が薄くなってきたらヘアスタイルを工夫し年相応の見た目を演出するのもアリです。清潔感があり髪型がその人のキャラに合っていれば、女性からは十分好感を持ってもらえます。ただ、髪の毛が薄いと時として不潔な印象を与えてしまう場合もありますし、薄毛が進行していくとできる髪型に制約が出てくるので、ある程度髪の毛のボリュームがあったほうがイケオジに近づくための選択肢は増えますね」（前出・ヘアメイクさん）

髪を生やすという選択肢

　女性からの見た目を気にして薄毛に悩んでいる中高年男性は多い。実は日本人の男性の約3割がAGAつまり薄毛なのだ。AGAとは、若くして髪が薄くなる病気だが今は治療することもできる。AGAを専門で治療する銀座総合美容クリニック（銀クリ）に訊いてみた。

「昔は髪の毛が薄くなってきたら、あきらめるしかなかったんですよ。でも治療法の研究が進み、今では“AGAは治せる病気”という認識が一般的になりました。もともとは若い方が薄毛に悩んで治療をするケースがほとんどでしたが、今は40代50代の男性がオシャレの一環で治療するケースも多いです」

　AGAの治療は最初に人それぞれ異なる薄毛の症状を確認し、それぞれに合った治療薬を服用して3カ月目くらいには見た目に明らかな変化がみられるという。治療薬には副作用もあるので、必ずAGA専門のクリニックに直接出向いて健康面や症状について診察を受けることが何よりも重要だという。健康だと思っていても潜在的にリスクのあるイケオジ世代ならなおさらだ。

「若い人で薄毛に悩んでいるのなら、もとの状態に戻すというのが最終目標でしょうけれど、ある程度年齢がいっている人ならば、“年相応”ということも大切です。今より少し前の状態にしたいとか、スタイルが決まらなくなったのでどうにかしたいとか、量をたくさん増やすのではなくカッコよく見えるようにしたいとか、年齢を重ねた分それぞれに希望があれば、それぞれのゴールを考えて治療を行います」（銀クリ）

　若作りという意味ではアンチエイジングという言葉も頭をよぎるが、実は年齢にふさわしい自分になるためのウェルエイジングの一環として今はAGA治療を始める男性も多いのだ。

　ここまで様々な専門家の意見やアドバイスを紹介してきたが、令和のイケてるおじさんのキーワードは、「清潔感」だ。これを基本にしつつ自分らしい魅力を最大限周囲に伝えるために、肌やニオイのケアをしたりファッションに気を使ったりなど外見や振る舞いにさりげなく演出をほどこせば「令和のイケオジ」への道も遠からず、だ。

銀座総合美容クリニック 公式サイト

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