40歳半ばを過ぎたあたりから、眠りが浅くなってきた気がする。周囲の同年代の人たちに聞いても、「じつはオレも……」なんて口を揃える。なんでも加齢によって、ノンレム睡眠の割合や睡眠を促進するホルモンの分泌量が減少していくらしい。そのうえ、これからの季節は熱帯夜で蒸し上げられたマットレスによって、寝苦しさは加速する一方。かくなるうえは、睡眠の質は「優れた寝具」によって底上げしていくしかない。

「当代最強のマットレスはどれか?」と思案していたところ、例によって文春オンラインから電話が……。

「エアウィーヴを取材しませんか?」

 エアウィーヴといえば、名だたるアスリートたちが愛用している高反発マットレスではないか! 奇貨おくべし、二つ返事で引き受けた。

 数日後、ダンボール箱が届いた。本社で取材をする前に、2週間ほどサンプルを使ってみてほしい、とのこと。

 送られてきたのは「エアウィーヴ スマート Z01」というモデル。フローリングや畳の上に直接敷いて使えるのはじつに便利だ。

 狭い家に6人で暮らすわが家にとっては、部屋にベッドを置くのはなにかと不便なのである。その点、このモデルは三つ折りタイプだから、押し入れに収納しやすいし、部屋の隅に自立させておける。通気性抜群のため、基本的に外で干す必要はない。

エアウィーヴ「スマート Z01」についてもっと見る

寝心地の衝撃はジワジワとやってきた

 エアウィーヴは「高反発」であるという。早速、新しいマットレスに興奮した小学生の娘が飛び乗ってきた。するとバイィィ~ンという感じで弾かれ、目を丸くしていた。しっかりとしたハリがあり、かつ戻りが速い。

 実際に横になってみる。……私は長年、ウェルネス関連の仕事に携わり、さまざまな寝具ブランドを取材してきた。現在は某ブランドが開発したマットレスを使っているが、寝心地に明らかな違いを感じた。ウレタンとも、コイルスプリングとも異なる反発性だ。

 普段使っているウレタン製マットレスは柔らかくて、体がズイッと沈み込むのだが、エアウィーヴは、頭から肩、腰、くるぶしまで、体全体が自然に支えられている感覚がする。

 腰が沈み込まないため、背筋がすっと伸びて、呼吸もしやすい。まるでヨガの基本ポーズであるシャバサナ(筋肉を完全に休ませる仰向けのポーズ)がごとく自然な姿勢になる。

「よっこらしょ」がいらないスムーズな寝返り

 もっとも驚いたのが、寝返りの打ちやすさだった。

 睡眠中の寝返りには、血流の維持や体温調節のサポート、睡眠サイクルの移行をスムーズにするなど、さまざまな役割がある。寝返りの打ちやすさは睡眠の質に深く関わるものであり、私にとっては、柔らかさよりも断然重要だ。

 事実、私が使っているマットレスは、寝返り時に踏ん張りやすくするために、足の下になる部分が硬めに作られている。

 だが、エアウィーヴにはそんな工夫は必要ないだろう。全身が反発性のある素材に支えられているため、足にほとんど力を入れなくても、なめらかに寝返りが打ててしまう。「よっこらしょ」が必要ないのだ。

身体をさっと起こすことができる

翌朝に訪れた心地いい目覚め

 実際に使って眠ってみた。

 夜中に一度も目が覚めることがなかった。朝もパッと目が開き、マットレスの高い反発性を利用して体をサッと起こすことができる。こんな爽やかな目覚めはいつぶりだろうか。そのまま日課のランニングに出かけたが、どこにも筋肉のこわばりがなく、特に腰が軽く感じた。

 不思議に思った私はカバーを開け、中身を取り出してみた。現れたのは、半透明の樹脂が絡み合った謎の物体。

 なんだこれは⁉――その正体を明らかにするべく、私はエアウィーヴの本社へ向かった。

 お話をうかがったのは、営業本部の田村大作さん。販売スタッフのトレーニングを担当する、ブランドのキーパーソンである。

中身は釣り糸由来の「エアファイバー®」

 最初に聞きたいのは、この樹脂のかたまりが何なのか? ということだ。

「これは釣り糸にも使われる高分子ポリエチレン樹脂を加工・成形したエアファイバー®と呼ばれる素材です。過熱して極細の糸状になったこの樹脂を、3Dの網目構造に成形することで、独特の弾力と通気性を生み出しました」

 なんと、起源は釣り糸だったのだ!

「弊社の創業者である高岡本州(もとくに)が、2004年に伯父から釣り糸押出成形機の製造会社を引き継ぎ、釣り糸の技術を寝具に転用しました。これがエアウィーヴ誕生のきっかけです」

 エアウィーヴには、4つの特長がそなわっているという。

「まずは寝返りの打ちやすさ。寝返りを打つ際に多くの筋力を使うと、脳が覚醒し、熟睡を妨げてしまいます。ポリエチレン樹脂の極細の繊維が絡み合うエアファイバー®は体重を押し返す力が強く、また、復元スピードも速いため、筋力をほとんど使わずにスムーズな寝返りが可能です」

 一般的なマットレスに使われるウレタンだとこうはいかない。低反発ウレタンは体が沈み込んでしまう。

 寝返りに関してはエビデンスもある。

「2015年に早稲田大学名誉教授の内田直先生が行った研究では、一般的な低反発マットレスと比較して、エアウィーヴの方が寝返り時の筋肉の動きが少なく、寝返りが打ちやすいことがわかりました。また、寝返り時の体圧に関しても、より分散していることが実証されています」

エアウィーヴの睡眠研究について
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“点”ではなく、“面”で支える体圧分散性能

 体圧分散もエアファイバー®のストロングポイント。

「エアファイバー®は繊維の中に無数の空気ポケットを含んでいます。この空気ポケットが体の重さを“面”で受け止めることで圧力を分散させ、一点に集中するのを防ぎます。通常のマットレスの場合、後頭部と左右の肩甲骨、腰に圧がかかりやすいのですが、エアファイバー®はその圧を点ではなく、面で受け止めることで体の負担を軽減させます」 

 私は横寝が多いため、起床時にときどき肩が痛くなることがあったが、エアウィーヴを使い始めてから、肩の違和感はすっかりなくなった。

通気性も抜群。夏は涼しくて、冬は暖かい

 エアファイバー®は90%以上が空気でできているだけあって、通気性も抜群だ。

「一般的なウレタン製マットレスは熱が内部にこもりやすく、夏は蒸れやすい傾向にありますが、エアファイバー®は無数の空気ポケットに空気を含んでいるため、風通しがよく、湿気や熱が込もりにくいという特長があります。夏は風通しがいいため、さらっと快適で、冬は断熱効果で暖かさを感じることができます」

 私はマットレスをフローリングに敷いて寝ている。夏の朝は、床とマットレスの裏側が湿気でじっとり濡れていることもあったが、エアウィーヴだとそうはならない。聞いて納得、マットレス全体に空気がスースー通り抜けていくから、蒸れることがないのだ。

左がウレタンマットレス、右がエアウィーヴ。蒸気を通すと、エアウィーヴはマットレス全体に空気が通り抜けているのがわかる

通気性と反発性が織りなす良質な睡眠

 通気性と寝返りの打ちやすさが、睡眠の質につながることは実験でも証明されている。

「質のよい睡眠をとるためには、体の内部の体温(深部体温)が下がることが重要です。睡眠医学の権威である千葉伸太郎先生が行った研究では、エアウィーヴと一般的な低反発マットレスを使用したときの睡眠中の深部体温と深い睡眠の量を測定し、比較しました」

 

 結果は上のグラフの通り。

 エアウィーヴの方が、睡眠の初期段階において深部体温がスムーズに低下し、これに伴う深い睡眠の量の増加が確認できる。これは優れた通気性と反発特性(寝返りの打ちやすさ)が熱放散を促し、質の高い睡眠をもたらしたことを示している。

「この研究は2018年に米国の科学誌・PLOS-ONEに掲載されました。寝具の違いが睡眠の質に影響を及ぼすことが初めて科学的に実証されたことになります」

 深い睡眠が成長ホルモンの分泌を促し、子供の成長や記憶の定着、日々のパフォーマンスに良い影響をもたらすというわけだ。

エアウィーヴの通気性の良さを
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洗えて清潔、ダニへの対策もばっちり

 4つ目の特長は水で洗えて清潔であるということ。

「エアファイバー®は水を吸わないポリエチレン樹脂でできているので、汚れや汗が気になったら、シャワーで洗うことができます。90%以上が空気でできているだけあって水切れもよく、浴室で陰干しすれば、大体半日~1日程度で乾きます」 

 布団はともかく、水洗いできるマットレスはまず見かけない。子供たちが小さかった時にこのマットレスがあれば、おねしょをしても、ノロウイルスで吐いても簡単に風呂場で洗えたのにな、と思ってしまった。

エアファイバー®は水を吸わないポリエチレン樹脂でできているので、さっと水が通る

 長年使い続けているマットレスの中の状態は、想像するダニ(・・)恐ろしい。

「通気性が低く、かつ湿気が溜まりやすいマットレスは、ダニにとっての格好の巣になります。さらに人間の皮脂やフケ、汗もダニのエサになります」

 なんたることか。私がのんきに寝息を立てているその下で、奴らは思いのままに繁栄していたのだ。

洗浄による細菌の除去のしやすさ(洗浄性)と、細菌が付着した状態で24時間静置した場合の菌の残存量(生存性)を比較した実験結果
(詳細:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000137.000031777.html

「ただ、エアファイバー®はダニが棲みつきにくいポリエチレン製の合成樹脂。加えて通気性にも優れているため、ダニが好む高温多湿の環境も生まれにくいのです」

 まあ、仮にダニが棲みついたとしても、死骸やフンだって、水で洗い流すことができる。

エントリーモデルとしても最適な「エアウィーヴ スマート Z01」

 取材中であるにもかかわらず、話を聞くほどに、財布の口が開いていく。

 では、数あるラインナップの中で、なぜ「スマート Z01」がおすすめなのか?

 

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「ずばり、もっとも価格と機能性のバランスが優れた最強のエントリーモデルだからです。7万円台(シングル)でありながら、エアファイバー®の厚みは一枚敷きタイプのモデル中トップクラスの8㎝。その性能を存分に味わうことができます。売れ行きも好調で、EC販売において、全製品中売上額は第1位。家族用に4枚まとめ買いしていただいたお客様もいらっしゃいました」

 あとは財布と相談だ。頭の中でそろばんをはじく。

 日本人の平均寿命が約85歳だとしたら、私はあと40年ほど生きることになり、8時間睡眠をとる場合、およそ13年以上もの時間を布団の上で過ごすことになる。

 睡眠の質が人生の質に直結するのは間違いない。

 何よりエアウィーヴには、こんまり先生も言っていた“ときめき”を感じるのだ。

 トップアスリートや宝塚歌劇団に愛用され、JALの国際線ファーストクラスにも採用されるハイスペック寝具で毎日眠るなんて、想像しただけでもSpark Joy!

 決めた。エアウィーヴァーに私はなる。

 

写真・杉山秀樹