
2021年のweb連載スタート以来、じわじわと人気を集め7月29日に書籍化される『ゆるブラック!~220人の会社に5年いて160人辞めた話~』。著者であり、主人公・かっぱ子が希望と不安を胸に“ひょっとこ商事”に入社したものの、そこで待ち受けていたものは予想外の出来事だった――という体験型のエッセイマンガだ。
理不尽な納期、0.1ヶ月分の少なすぎるボーナス、そして次々と辞めていく同僚たち……ブラックとまでは言い切れないけど、ホワイトでもない──“ゆるブラック企業”でかっぱ子が体験した日々がコミカルで温かみのある作風と、クスリと笑えるユーモアを交えて描かれている。
「かっぱ子さんは『誰かを悪く描きたくない、エッセイマンガにありがちな“この人が悪い”みたいなことはやりたくない』とよく仰っていました。社員の8割、9割がやめる会社であっても様々な立場や考え方の人がいます。人間は多面的で一面だけ切り取ったら悪く見えるかもしれないけれど全体を通したら実はいい人に見える、ということはよくありますよね? 会社で起きた実際の体験をマンガにして下さいました」
そう語るのは担当編集者の長濱七弓さんだ。
「登場人物は上司が海の生き物。先輩が動物。後輩が食べ物です。『会社という同じ空間にいるのに、なんだか境界線がある』とかっぱ子さんが仰っていて。上司は陸とちょっと距離があり、声が届かない特殊な存在だから海の生き物。先輩は上司よりも少し距離が近いから動物。後輩が特に面白くて……かっぱ子さんが勇気を振り絞ってある後輩をサシ飲みに誘ったらしいんですけれど、『今日で豆腐の賞味期限が切れるので帰ります!』と断られてしまったらしく(笑)。それで後輩は全員食べ物になりました」(同前)
web連載では400話以上、入社5年目まで公開されているが、ページの都合上書籍化でまとめられたのは1年目のエピソードのみ。今回特別公開するのは第3話である。
タイ社長の息子で異業種から転職し、たった入社半年で部長になるという異例の出世を遂げたサンマが権勢をふるい始め、物語が大きく動き始める。
「サンマがめちゃくちゃ面白いんです。無駄な改革をしたり、『外回りして名刺を集めて来い!』と言ったり、うまくいかないとゴミ箱を蹴り上げたり……。ベンチャー気質の体育会系ということで、勢いのいい“サンマ”と名付けられたと伺いました」(同前)
読むと共感できるエピソードが数多く盛り込まれている、新感覚コミックエッセイ。明日も仕事を頑張ろうと思える爽やかな読後感に包まれること間違いなしだ。



























