がん、心臓病に対する高度専門医療に特化し、かつ高度救命救急医療の提供を使命とする埼玉医大国際医療センター。病院の国際評価機構である「JCI(Joint Commission International)」の認証を取得し、世界最高水準の病院を目指す。

病院長 佐伯 俊昭
1982年広島大学医学部卒。乳腺腫瘍科教授。日本がんサポーティブケア学会前理事長。
がんの診療実績は県内トップ
心臓病では移植や人工心臓も
当院の理念は、患者中心の医療の提供と高度な医療水準の維持です。
患者中心の医療は世界中の病院の目標であり、国の方針もそこに向かっています。例えば、これまでのがん医療は全ての地域で同じ水準の医療が受けられる“均てん化”が目標でしたが、現在はそこに“集約化”が加わりました。医療機関の役割分担を進め、より質の高い医療を提供するためです。脳卒中・心臓病の施策では、患者さんやご家族などに対して情報提供や相談支援を行う「脳卒中・心臓病等総合支援センター」を全国に設置。埼玉県では、心臓移植、補助人工心臓治療も可能な当院に設置されました。
がん診療実績で県内トップを誇る当院は、「地域がん診療連携拠点病院」「がんゲノム医療拠点病院」です。グループ病院で「がんゲノム医療連携病院」の埼玉医科大学総合医療センターや、地域の病院と連携して「がん遺伝子パネル検査」を提供し、治療に結びつけています。埼玉医科大学総合医療センターは小児やAYA世代の妊孕性温存療法実施施設でもあり、我々は緊密に協力しながらがん患者さんを支援しています。
右:1階ホールにはヒポクラテス(右)とナイチンゲールの絵画
病院が一体となって全人的な医療を提供
近年、がんの治療成績向上や高齢化により、がんに心臓病などを併せ持つ患者さんが増えています。海外では、乳がんの再発よりも心臓病で亡くなる方の方が多いというデータもあり、疾患別ではなく全人的に患者さんを診ることが重要になってきています。当院の包括的がんセンターは、病理、精神腫瘍、リハビリテーションなどの専門医も揃い、心臓病センター、救命救急センターとも連携。多職種によるチーム医療で患者さんとご家族を支えています。
どのような病気を持っていても、病院が一体となって全人的な医療を提供することが当院のモットーです。
がん治療には多様な選択肢がありますが、患者さん中心主義で治療方針を考えられるのが本物の「スーパードクター」です。世界最高水準の病院を目指し、県民の期待に応えて参ります。

消化器外科(大腸がん)
低侵襲を重視 傷口1カ所の手術も実施
平能 康充
日本外科学会外科専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、他
年間500件以上行う大腸がん手術のうち約9割がロボット手術です。低侵襲を重視し、単孔式手術も行っています。単孔式とは、約3cmの小さな傷口1カ所からカメラと鉗子を入れる方法。術後の痛みや合併症のリスクが少なく、審美的にも大きなメリットがあります。単孔式手術にはダビンチSP、単孔式手術が難しい場合はダビンチXiやダビンチ5を用いるなど、患者さんにより使い分けています。ダビンチ5は、鉗子の先端のセンサーで組織を押したり引いたりする感覚(力覚)がある、従来の4倍の解像度、AIによる手術データ解析などの利点があります。術後の生活の質(QOL)も考慮し、患者さんと相談しながら最適な手術法を提案します。
消化器外科(肝胆膵)
約7割がロボット手術 集学的治療で難治がんに対応
合川 公康
日本外科学会外科専門医、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医、他
3D画像を見ながら、可動域の広い鉗子を自在に操って行うロボット手術は精細な手術が可能です。肝臓、胆のう、膵臓は消化器の中でも複雑な領域ですが、当科では全体の約7割、肝臓がんではほとんどがロボット手術です。膵臓がんでも、消化管の再建を必要としない膵体尾部切除術はほぼロボット手術。再建が必要な膵頭十二指腸切除術では現在5%ほどですが、今後増やしていく方針です。一方で、ロボット手術適応外の肝門部胆菅がんや、血管の切除・再建が必要な膵臓がんに対する開腹手術も実施。また、手術だけではなく薬物療法、放射線治療まで広く集学的治療を提供しています。適応を慎重に判断し、安全性を確保しながら適切な治療を提供します。
泌尿器腫瘍科
ロボット手術は年々増加 術後のQOLも良好に
金子 剛
日本泌尿器科学会専門医、泌尿器腹腔鏡技術認定医、他
尿路および男性生殖器の悪性腫瘍を専門に診療しています。ロボット手術の実施件数は年々増え、2024年の実績は前立腺がんに対する前立腺全摘除術87件、腎臓がんに対する腎部分切除術23件、膀胱がんに対する膀胱全摘除術は13件。前立腺全摘除術は全てロボット手術です。当科はもともと腹腔鏡手術の実施件数が多く、そのエキスパートが揃っていることからロボット手術の導入が非常にスムーズでした。使用するのは主にダビンチXi、SP、5です。中でもダビンチ5は力覚があり、視覚と合わせることで、糸を結ぶ際などのより精緻な手技が可能です。ロボット手術は術後の排尿障害や性機能障害も比較的軽く、1年後には気にならなくなる患者さんがほとんどです。
消化器外科(胃)教授 櫻本 信一/日本外科学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、他
消化器外科(食道)教授 佐藤 弘/日本外科学会専門医、日本食道学会食道外科専門医、他
呼吸器外科教授 菱田 智之/日本外科学会専門医、呼吸器外科専門医、胸腔鏡安全技術認定医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医、他
頭頚部腫瘍科・耳鼻咽喉科教授 中平 光彦/日本頭頚部外科学会頭頚部がん専門医、日本気管食道科学会気管食道科専門医、他
婦人科腫瘍科講師 藪野 彰/日本産婦人科学会専門医、日本産婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)、他
INFORMATION
埼玉医科大学国際医療センター
埼玉県日高市山根1397-1
TEL 042-984-4111
https://www.international.saitama-med.ac.jp
