日帰り手術を専門とする中原眼科。東京西部を代表する都市の町田にあり、町田駅から徒歩2分というアクセスのよさと、病気を治した上でよりよい機能を目指すことへのこだわり、徹底した「患者ファースト」の姿勢で全国から患者を集める。確かな技術と人柄で信頼される中原将光医師に話を聞いた。
院長 中原 将光
なかはら・まさみつ／1978年東京都生まれ。2003年浜松医科大学卒業。東京医科歯科大学病院眼科、横浜市立大学附属市民総合医療センターなどを経て、フリーランスの眼科医として手術を中心に活動。2021年4月に中原眼科を開院。日本眼科学会認定眼科専門医。著書に『最高の白内障手術』（幻冬舎メディアコンサルティング刊）がある。
機器への投資を惜しまずそのメリットを患者に還元
院長の中原将光医師は2021年の開院以来、年間4000件近い手術をすべて自身で執刀している。
「眼は人体の中で最も精緻な臓器で最も手術が難しいため、技術が結果に直結する。だからこそやりがいがあるのです」
そう語る中原医師は、「最高の技術で治療するという絶対的な自信がない限り、メスを持つべきではない。手術室は聖域」という高い志で手術と向き合う。実地で得た知見を学会で発表する他、手術見学を希望する医師を受け入れ、インターネットでも情報を公開するなど技術の普及にも取り組む。
眼科の手術は、術者の高度な技術に加え、機器の性能が治療結果に大きな影響を与えるため、同院は先進機器への投資を惜しまない。
「白内障・網膜硝子体手術装置『UNITY® VCS』を、世界同時発売された2025年8月に導入しました。厚生労働省の薬事承認も取得した本機の特徴は、白内障手術で水晶体を従来の2倍の速さで取り除けることと、網膜硝子体手術では1分間3万カットの切除速度があることです。切除速度が速いほど眼の負担は軽く、合併症のリスクも下がります」
そう説明する中原医師のポリシーは、高性能の手術機器をいち早く導入してそのメリットを患者さんに還元し、治療効果を高めることだ。その考え方は治療プロセスにも現れている。例えば、従来の網膜硝子体手術は白内障手術も同時に行うのが当たり前だったが、中原医師は現在、白内障手術を後日に行う。背景には、網膜剝離や黄斑上膜（前膜）の手術成績向上がある。
「網膜の機能がどれくらい回復したか確認後に眼内レンズを選んだ方が、白内障手術でよりよい治療結果が得られます。白内障手術は、近視や乱視を治療する最後のチャンス。それを最大限に活かせるということです」
特に黄斑上膜（前膜）の術後は、網膜に少し歪みが残ることがあるが、眼内レンズの選び方次第で影響を最小限に抑えることができる。
同院が扱う眼内レンズの種類は豊富だ。とりわけ多焦点眼内レンズは、患者さんのニーズにきめ細かく対応するために、高性能のものを海外から積極的に取り寄せている。
さらに、多焦点眼内レンズの機能を最大限に発揮させる精度の高い手術を行うため、レンズのサイズに合わせて正確に切開できるフェムトセカンドレーザーを用いたレーザー白内障手術機器に加え、「ダイヤモンドメス」を使用する。
「正確かつ切り口のきれいな切開は、術後の視力に影響を及ぼします。ダイヤモンドメスはレーザーよりもシャープに切れるので、例えば角膜はダイヤモンドメス、前囊はレーザーというように使い分ける『ハイブリッド』手術を行っています」
高性能の機器と、その能力を限界まで引き出す術者の技術という両輪が揃って初めてクオリティの高い手術が実現する。
多焦点眼内レンズはレアなものまで約20種類用意している
左：インテンシティー Intensity
世界初の5焦点眼内レンズで、3焦点眼内レンズではカバーできなかった焦点にも強く、遠方から近方までメガネなしの生活を実現するが、難点は効果を発揮するには医師の豊富な使用経験と精度の高い技術が必要であることと自由診療で高額であること。
右：テクニス オデッセイ TECNIS Odyssey
従来の2焦点＋焦点深度拡張型に比べ、夜間のハロー・グレア現象がかなり軽減できている。また、遠方視力が良好で、選定療養対象のレンズの中では近方（手元）も良く見える。度数ずれも起こしにくい。
近視矯正手術にも注力。ICL、レーシックの適応は厳格に
日本の近視矯正手術は、ICL（眼内コンタクトレンズ）治療が9割以上を占め、レーシック手術が極端に少ない。そのアンバランスに中原医師は警鐘を鳴らす。
「世界ではICLに比べレーシックの方が多いことがほとんどで、アメリカにおいてICL手術は、近視矯正手術の中で一割程度です。ICL治療は、取り除いてしまえば元通りになると説明されることが多いですが、ICLを入れるときに角膜を切開するので決して元通りではありません。そもそも、『屈折矯正手術のガイドライン（第8版）』（日本眼科学会）におけるICL治療の適応は、近視の強さを表す屈折値が6D以上の高度近視。3D以上6D未満の中等度近視に対しては慎重に実施、3D未満は適応外ですが、軽度でも実際には行われています」
同院はガイドラインに沿い、ICL治療とレーシック手術を適切に選択。その重要性を中原医師は次のように説明する。
「高度近視はICL治療になりますが、中等度以下はレーシック手術の方がメリットは大きい。なぜなら、視力矯正の精度はレーシック手術の方が高いのです。安全性も高く、削った角膜の表面はきれいです。何よりも、将来白内障手術が必要になったとき、ICLが入っていると取り除く処置が必要になりますが、レーシックの場合はそのまま白内障手術ができます」
最近はレーシック手術用のレーザー機器を持たないクリニックも多いが、近視の程度に合わせて選択できる方が安心だ。また、レーシック手術用のレーザー機器があると、白内障手術後に視力を微調整することもできる。「視力の調整がシビアな多焦点眼内レンズの場合は特に、それが患者さんの満足度を高める強力な武器になります」と中原医師は話す。
診療のすべてにおいて「患者ファースト」を実践
中原医師は徹底して「患者ファースト」を貫き、術中も患者が不安を感じないように細心の注意を払う。
「音を立てない手術を心がけています。術中の患者さんはとても音に敏感で、器具が触れ合う音を聞くだけで緊張したり、医師や看護師の何気ない発言から不安になったりすることもあるからです。私の手術は片目で3～4分と短時間。静かにスピーディに行うと患者さんは緊張する間もなく、『もう終わったの？』と言われることもよくあります。手術時間が短いと感染リスクも低くなります」
麻酔にも気を配り、白内障手術では静脈麻酔に笑気ガスを併用することもある。また、術中の強い光による視力障害を防ぐために、手術用顕微鏡は光量を通常の25％程度に抑えた高感度のものを使用している。
眼内レンズが合わないという人のために、他院で行った手術でも入れ替えを行う「やり直し外来」も患者ファーストの一環だ。
網膜剝離などの緊急手術も多く受け入れている中原医師。
「網膜剝離は数時間単位で悪化することもあるため、できるだけ早く対応するようにしています。患者さんの不安な気持ちを一秒でも早く解消して差し上げるのが医師の務めです」
同院への信頼の源にあるのは、磨き上げた技術と患者の心に響く対応だ。
著書紹介
中原 将光（著）
幻冬舎 メディアコンサルティング 刊
『スゴ腕サージャンが解説！ 最高の白内障手術』
大事なのはQOV（Quality of Vision）＝見え方の質。眼科手術のプロが語る最先端の技術と理念。
