〇企画趣旨
フィジカルAIとは、AIがデジタル空間にとどまらず、センサーやロボットを通じて現実世界を認識し、自律的に判断し、物理的な動作として実行する「実世界で動くAI」を指します。近年の各種調査や研究レポートでも、生成AIに続く次の進化段階として、情報処理中心のAIから、物理的価値を直接創出するAIへの転換が始まっていることが示されています。従来のロボット自動化が「あらかじめ定義された動作を正確に繰り返す」ことを前提としてきたのに対し、フィジカルAIは環境の変化を理解し、その場で最適な行動を生成する点に本質的な違いがあります。固定化された生産ラインではなく、変動する現場、多品種少量生産、非定型作業といった現実の複雑性に対応できる柔軟性こそが、その核心的価値です。
この潮流は単なる技術トレンドではなく、社会構造の変化に根ざしています。労働力不足と高齢化が進む中で、熟練技能の継承や現場オペレーションの維持は、製造業のみならず物流、建設、医療・介護など幅広い分野における重大な経営課題となっています。人の判断力や身体性を前提としてきた業務を、持続可能な形へどう転換するのか。フィジカルAIは単なる省人化ツールではなく、「人と協働しながら現場を支える知能」として、構造的な労働制約に対する現実的な解の一つとして期待されています。
政府においても、実世界データとロボティクスを融合させた次世代産業の創出を掲げ、研究開発投資や産業基盤の強化を進めるなど、競争力確保に向けた動きが加速しています。特に、製造現場に蓄積された高度なプロセス技術や現場データは、フィジカルAIの高度化にとって重要な資産です。一方で、海外では大規模投資と国家戦略の下で研究開発が進んでおり、特許・人材・資本の獲得競争は激化しています。技術力のみならず、政策・産業・アカデミアが連動した総合的な戦略が問われています。
製造業の現場ではすでに変化が始まっています。協働ロボットに高度な状況認識を組み合わせ、作業者や工程の状態に応じて動作を最適化する取り組み、品質検査と物理制御を統合した自律型システム、自律搬送ロボットによる動的な工程間連携など、実装フェーズは着実に進展しています。フィジカルAIは、単なる自動化の高度化ではなく、現場そのものの再設計を促す存在です。市場規模の拡大も見込まれ、ロボット、エッジコンピューティング、センサー、半導体、クラウド基盤などを含む広範なエコシステムに波及効果をもたらすと予測されています。
しかしながら、その導入には乗り越えるべき課題も少なくありません。複雑で予測困難な環境下における安全性確保、リアルタイム制御と高度なAIモデルの統合、法規制や責任範囲の整理、投資対効果の明確化、さらにはAIと協働できる人材の育成など、技術・制度・組織の三位一体の変革が求められます。フィジカルAIは「導入すれば成果が出る」単体技術ではなく、データ基盤整備や業務プロセス改革を伴う経営テーマそのものです。
本カンファレンスでは、政府の競争力強化の方向性、製造業における最新動向、従来型自動化との本質的差異、市場インパクト、活用事例、そして実装上の課題を総合的に整理し、フィジカルAIを単なる流行概念ではなく「実世界で価値を創出する戦略テーマ」として再定義します。労働力不足と高齢化という構造的課題に直面する今、AIは“考える存在”から“動く存在”へと進化しています。フィジカルAIは、ものづくりと社会インフラの未来を左右する転換点となるのか。本カンファレンスは、その可能性と現実解を多角的に議論する場として開催いたします。
〇開催概要
開催日時 6月11(木) 14:00~18:00(懇親会 17:00~18:00)
会 場 会場対面、オンライン視聴のハイブリッド開催
会場参加 文藝春秋本社ホール(千代田区紀尾井町 3-23)
オンライン参加 ZoomウェビナーでのLIVE配信
参加対象 企業経営者、経営幹部、DX推進部門、経営企画部門、
R&D部門、開発部門、新規事業部門の部門長など
定 員 会場参加 100名/オンライン参加 500名~
※申込者多数の場合、会場参加は抽選となる場合がございます。
参加費用 無料(事前登録制)
主 催 文藝春秋
協 賛 キャディ株式会社
〇来場特典
ご来場をいただき懇親会へ参加をいただきましたお客様へは、冨山氏の著書『日本経済AI成長戦略』を1冊プレゼント

申込特典
2週間の見逃し視聴をいただけます
〇プログラム
14:00~14:40 基調講演
「AIがもたらす産業構造の転換 ~フィジカルAI時代のものづくり革新~」

日本共創プラットフォーム(JPiX)
代表取締役会長
冨山 和彦氏
ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、2003年産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。解散後、07年経営共創基盤(IGPI)を設立し代表取締役CEO就任。20年日本共創プラットフォーム(JPiX)を設立。メルカリ社外取締役、日本取締役協会会長。内閣府規制改革推進会議議長代理、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、他政府関連委員多数。主著に『日本経済AI成長戦略』『『ホワイトカラー消滅 私たちは働き方をどう変えるべきか』『コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える』『コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画』『「不連続な変化の時代」を生き抜く リーダーの「挫折力」』『なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略』他。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。
14:40~15:20 論点整理&基調対談
「フィジカルAIによる産業構造の変化」
~ 製造業に求められる変革とは? ~

IoTNEWS 代表
小泉 耕二氏
1973年京都生まれ。大阪大学基礎工学部にてニューロコンピューティングを専攻。アクセンチュアやキャップジェミニ・アーンスト・アンド・ヤングといったグローバルコンサルティングファームにて、コンサルティング業務に従事。その後、SIerであるテックファーム株式会社で、ケータイがリアルとつながる世界を開拓。赤外線通信、QRコード、おサイフケータイといった新しい技術をビジネスに取り込むための活動を行う。2005年に株式会社アールジーンを創業。デジタルを中心にビジネスを立ち上げるためのコンサルティングやシステム開発を行う傍ら、2015年よりIoT/AI、DXの専門メディアであるIoTNEWSを創刊。

日本共創プラットフォーム(JPiX)
代表取締役会長
冨山 和彦氏
15:20~15:30 休憩
15:30~16:10 特別講演①&質疑応答
「近日公開」
16:10~16:50 特別講演②&質疑応答
「コマツが描くモノづくりにおけるAI活用、その到達点」
~フィジカルAI時代に目指す“未来の現場”像~

コマツ
常務執行役員 開発本部長
谷口 純氏
東京都出身。1991年に早稲田大学理工学部電気工学科を卒業後、同年4月に株式会社小松製作所へ入社。開発部門にてエレクトロニクスおよびICT分野の技術開発に従事し、要素技術開発やシステム商品開発、情報化施工分野を担当。2016年にICT開発センタ所長、2020年に執行役員 開発本部副本部長兼ICTシステム開発センタ所長に就任。2022年にコマツアメリカ株式会社Mining Technology Solutions Technical Director、2023年執行役員 開発本部副本部長、2025年執行役員 開発本部長。2026年4月より常務執行役員 開発本部長。
17:00~18:00 懇親会
講演者様、参加者様同士の交流の場としてご活用ください。
