〇企画趣旨
市場環境の不確実性が高まり、変化のスピードが加速するなか、多くの企業が中期経営計画や成長戦略を掲げています。しかし現場では、「戦略は正しいはずなのに成果につながらない」「方針は示されたものの、日々の業務で何を変えればよいのか分からない」といった違和感が、静かに蓄積しています。
その背景には、戦略が理念やスローガンとして語られる一方で、現場の戦術や具体的な行動にまで十分に落とし込まれていないという現実があります。目的と手段の区別が曖昧になり、本来は成果を生み出すための手段であるはずのAI導入やDX推進が、それ自体を実行することが目的化してしまうケースも少なくありません。その結果、戦略と現場の間に乖離が生じ、施策は次第に形骸化していきます。
また、トップダウンで打ち出された方針が現場に十分に伝わらず、納得感や当事者意識が醸成されないまま進むことで、行動変容につながらない例も多く見受けられます。一方で、ボトムアップを重視するあまり、各部門がそれぞれの最適化を進めた結果、全社としての優先順位が不明確となり、全体最適の視点を見失ってしまうというジレンマも顕在化しています。
さらに、データ活用やAIの高度化が進む中で、データは蓄積されているものの意思決定に十分に活かされていない、現場は日常業務に追われ改善や分析に踏み込めない、あるいは最終的な意思決定の所在が曖昧なままプロジェクトが停滞するといった、実行段階での課題も浮き彫りになっています。これらは単なるツールやスキルの問題ではなく、リーダーの関与の仕方、権限と責任の設計、ガバナンスの在り方、人材育成といった経営基盤に深く関わる問題です。
本カンファレンスでは、「なぜ戦略は行き詰まるのか」という問いを起点に、戦略と戦術の使い分け、トップダウンとボトムアップの最適な設計、そしてリーダーに求められる役割を、現場で実際に起きている課題と重ね合わせながら整理します。あわせて、AIやデータ活用を全社の意思決定と実行プロセスにどのように組み込み、イノベーションや共創を持続的な成果へと結びつけていくのかについて、組織変革や意識改革、リソース配分、人材育成、ガバナンスの実践的な論点に踏み込みます。
戦略の巧拙ではなく、戦略を現場で「やり切る力」こそが、企業価値の明暗を分ける時代です。本企画は、構想と実行、部分最適と全体最適の間に横たわる溝を直視し、「正しい戦略」を「確かな戦術」へと昇華させるための実践的な視座を提供することを目的としています。
〇開催概要
開催日時 7月22日(水) 13:00~17:30
会 場 東京コンファレンスセンター品川 大ホール
(港区港南1丁目9−36 アレア品川 5階)
参加対象 企業経営者、経営幹部、経営幹部候補、各部門の部門長の方々など
定 員 500名(会場対面のみの開催となります)
※申込者多数の場合は抽選となります
参加費用 無料(事前登録制)
主 催 文藝春秋
協 賛 株式会社アバント、Tagetik Japan株式会社ほか
〇来場特典
ご来場のお客様へ三枝様の著書『決定版 V字回復の経営』および『決定版 戦略プロフェッショナル』プレゼント

〇プログラム
13:00~13:50 基調講演
「優れた経営者の条件」
戦略は「こうしよう」という主体的な意図の表明であり、「こうなるだろう」という将来予測ではない。さまざまな打ち手がつながって、全体として長期利益に向かって動いていくという時間展開が動画のように見えてくる。ストーリーとしての競争戦略を構想できる優れた経営者の条件を論じる。

一橋ビジネススクール
特任教授
楠木 建氏
経営学者。一橋大学特任教授(PDS寄付講座・シグマクシス寄付講座)。専攻は競争戦略。企業が持続的な競争優位を構築する論理について研究している。著書として『楠木建の頭の中 戦略と経営についての論考』(2024年、日本経済新聞出版)、『絶対悲観主義』(2022、講談社)、『逆・タイムマシン経営論』(2020、日経BP、杉浦泰との共著)、『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(2010、東洋経済新報社)などがある。
13:50~14:20 課題解決講演①
正しい戦略が現場に届かない理由
~ 戦略と実行を繋ぐROICの『翻訳』設計 ~

株式会社アバントグループ
CSO兼 株式会社アバント 取締役
諸井 伸吾氏
コンサルファーム、ファンド、事業会社での経営企画や事業本部長、COOを経験し、2022年4月より企業経営に役立つ情報システムを探求し続けてきたアバントグループに参画。現在はグループCSO(戦略担当)、IR室長、経営管理ソリューションを担うアバント社取締役、IRコンサルティングを担うVISTA社取締役として戦略実現に取り組む。
14:20~14:30 休憩
14:30~15:30 特別講演①
「閉塞事業を甦らせる抜本改革とは」
~ 新戦略を打ち出したつもりでも会社があまり変わらないのはなぜか ~
✔ 過去の「強烈な反省論」とは?
✔「『論理』に支えられた『腕力』」を振るえる指揮官はいるか?
(どちらか一方に偏ったリーダーシップでは不十分)
✔ 社員は「改革のストーリー(物語)」を共有しているか?
✔ あなたの改革失敗の「死の谷」はどこに潜んでいるか?

株式会社ミスミグループ本社
特別顧問(第2期創業者・元CEO)
三枝 匡氏
一橋大学卒業後、三井系企業に勤めたが二年半で飛び出し、1960年代末、米国系コンサルタント会社に国内採用第1号で参画。スタンフォード大学MBAを取得後、日本に戻り戦略経営者への道をめざす。奇遇により弱冠30代で赤字会社2社の再建と投資会社の設立をそれぞれ社長として経験。41歳の時、日本で初めて事業再生専門家を名乗る。依頼を受け社内に役員として入り変革責任を請け負う仕事を16年間続けた。その最後の事例では、1兆円企業がバブル不況の中で廃業を覚悟した7年連続赤字部門を2年で再生し、新しい成長路線に乗せた。2002年ミスミのCEOに就任。社員340人だった同社をグローバル1万人超の国際企業に成長させた。2026年より現職。経営の傍ら一橋大学客員教授など教壇にも立った。著書に『戦略プロフェッショナル』『V字回復の経営』『閉塞企業を甦らせる』などシリーズ出版累計100万部があり、米国、中国、台湾、韓国の現地語版も出ている。
15:30~16:00 課題解決講演②
近日公開予定
16:00~16:10 休憩
16:10~16:40 課題解決講演③
近日公開予定
16:40~17:30 特別対談
「戦略の本質」
~ 理論と実践の交錯点 ~
不確実性が高まる経営環境において、企業はいかに「正しい戦略」を描き、実行へとつなげるべきか。理論と実践、それぞれの立場から戦略の本質を問い直し、事業革新・経営革新・組織の戦闘力向上を実現するための条件を深く、そして熱く議論します。

三枝 匡氏 × 楠木 建氏
