政府主導の教育のデジタル化が進む中、教師たちからは困惑の声が上がる。その声に文科省はどう答えるのか。そもそも、日本のデジタル教育はいつどのようにして始まったのか。子どもたちに迫る危機の深層に迫った——。
「あれ、この漢字、小学校で習うよね?」
神奈川県で国語を教える中学校教員のAさんは、中学3年生に中国の小説家・魯迅の『故郷』を教えているときに違和感を持った。
「主人公が『再会』するという漢字を『再開』と間違える子がとても多かったんです。タブレットで勉強しているから漢字が書けなくなっているのでは、と心配になりました」(Aさん)
同様の感想を持つ教員はAさんだけではなかった。この数年、国語科の教員が参加する研修会で、こんな問題が相次いで指摘されるようになったのだ。
「筆圧が弱い」「字が汚い」「誤字脱字が増えた」
Aさんは授業で紙も用意し、生徒に自由に選ばせるようにしていた。
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source : 週刊文春 2024年11月28日号