ウクライナ情勢が急展開を迎えました。アメリカのバイデン大統領が、アメリカ製の長射程ミサイルをロシア領内に向けて使用することを認めたからです。使用が認められたのは「ATACMS」(アタクムス)。11月17日、アメリカのメディアが、バイデン政権がこれまでの方針を転換してATACMSのロシア領内への使用を許可したと報じましたが、その翌々日、ウクライナ陸軍は国境から約100キロ離れたロシア西部にあるロシア軍の弾薬庫に向けて6発を発射したのです。

 弾薬庫がある場所は、ロシア西部のクルスク州の近くです。クルスク州は、2万人規模のウクライナ軍兵士が進撃した場所です。ウクライナは、ロシア軍の一方的な攻撃を受けてきましたが、ロシア軍の隙を突く形で、逆にロシア領内に攻め込んだのです。クルスク州に攻め込めば、ロシアは焦ってウクライナ東部に攻め込んでいる軍隊を転進させるだろうと考えたと見られています。ところがロシア軍は、ウクライナに攻め込んだ部隊を転進させることはありませんでした。

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source : 週刊文春 2024年12月5日号