木嶋は効率的に金を毟るために、同時に何人もの男と交際を続けていた。2人目の犠牲者もまた、木嶋の本性に気づかぬまま、練炭がもたらした大火の中で息絶えていった。

 木嶋佳苗は婚活マッチングサイトを狩り場として、次々と男たちを毒牙にかけていった。

 第二の殺人被害者となる相川幸三(仮名)は千葉県野田市で年金を頼りに生きる、79歳の老人だった。

 もとは京都の出身で父は著名な画家だったが、次男の彼は問題ばかりを起こす「極道者」となり、親族から絶縁された。

 若い頃は「俳優になったほうがいい」と言われるほど端正な顔立ちで、女性には相当にモテたようだ。ベンツを乗り回していた時期もあったというが、職を転々として最後は宅配便のトラック運転手になった。

 野田市には、老齢になってから流れ着いたようである。近所に暮らす主婦は相川を、このあたりには見かけない垢抜けた老人だったと事件当時に語っている。

「相川さんは15年ぐらい前に埼玉県の川口のほうから家族3人で移り住んできたけれど、周囲には馴染まず、近所づきあいはほとんどしていません。若い頃は進駐軍の通訳をしていたと聞きました。クラーク・ゲーブルみたいな雰囲気でした。昔は相当にモテたと思います」

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source : 週刊文春 2024年12月5日号