「やられたらやり返す、倍返しだ」は赤い銀行で働く半沢直樹の名台詞だが、顧客の信頼が“倍返し”で失墜したのが、三菱UFJ銀行の半沢頭取だ。なぜ、日本最大のメガバンクで行員の卑劣な犯罪が続出しているのか。

 

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 閉店後の銀行支店に独り残っていた40代の女。どことなく女優の和久井映見を彷彿とさせる彼女は、慣れた手つきでスペアキーを挿し込み、金属の扉を静かに開ける。現金の束と貴金属を抜き取ると、そっと懐に忍ばせて……。これは、往年のサスペンス映画ではなく、令和の世の中で現実に起きた被害総額十億円超の貸金庫窃盗事件だ。

 小誌記者は、12月14日夜、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の三毛兼承会長(68)を訪ねていた。

――御社の問題について。

「……あの、申し訳ないけども、広報を通してもらえませんか」

 その2日後のことだった。

「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであると、厳粛に受け止めており、心よりお詫びを申し上げます」

 12月16日午後、記者会見で頭を下げたのは、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取(59)。自身の「責任」について問われると、

プリンスと呼ばれた半沢氏

「再発防止策の実行に取り組むことが最大の責任だと認識しております」

 神妙な面持ちでそう答えるのだった。

 日本最大の総合金融グループMUFG。傘下には中核の三菱UFJ銀行のほか、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などを擁している。

「連結経常収益(売上高)は約11兆9000億円で、時価総額は国内ではトヨタ自動車に次ぐ約22兆円。金利上昇、円安、資金需要の増加など追い風に乗って業績を拡大しています。先日、ロボアド最大手のウェルスナビを1000億円規模で買収することも発表し、話題を呼んだ。今期は、過去最高を連続更新する純利益約1兆7500億円を見込んでいます」(市場関係者)

 だが、その三菱UFJで今、行員の犯罪が連発している。

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source : 週刊文春 2024年12月26日号