読売新聞グループ本社代表取締役主筆で元巨人オーナーの渡辺恒雄さんが亡くなった。

 巨大メディアのドンとして長きにわたり政財界に多大な影響力を発揮してきた渡辺さんは、1996年末から約8年間、巨人のオーナーを務め、球界でも強烈なリーダーシップを発揮してきた人物である。

 球界改革に影響を及ぼす様々な言動。それと同時に、一方では放言、暴言も連発する。そこでスポーツ紙にとっては、あるときから欠かせない“スター”であったことも間違いない。

1996年12月に巨人軍オーナーに就任 ©時事通信

 渡辺さんがスポーツ紙に“鮮烈デビュー”を飾ったのは、1991年の9月のことだった。この年の5月に読売新聞社社長に就任。名実ともにグループのトップに立ったことで、今までは遠慮していた巨人への発言も自然と多くなっていた最中だ。チームは藤田元司監督のもとで8月には優勝戦線から脱落。監督の去就がクローズアップされる最中の9月3日に、報知新聞(現スポーツ報知)が渡辺さんを東京・千代田区五番町にあった自宅前で直撃。私は入社10年目で遊軍記者として巨人の取材に関わっていた。読売グループのドンが自宅前での直撃取材に応じて藤田監督続投を明言したことで、そこから各社の“五番町詣”が始まったのである。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル