2024年1月1日16時過ぎ、最大震度7の地震が能登半島を襲った。統計によれば、関連死を含めた犠牲者の数は500人を超える見通しで、99%が石川県に集中している。

 

 最愛の家族を喪い、失意の中を生き抜いてきた2人の男性。その1年を追った。

「家が壊れても、お金がなくなっても、生きてさえいれば、やり直すことができる。でも、俺はかけがえのない家族2人を失ってしまったから。もう1年というけど、何年経とうが、妻と長女が犠牲になった事実は変わらない」

 居酒屋「わじまんま」店主の楠健二さん(56)は、心のままに言葉を紡いだ。現在、神奈川県の京急川崎駅に程近いビルの地下1階で、“復興”させた居酒屋を営む。

楠健二さん

「仕事をしていると気が紛れるからさ、年内は大晦日くらいまで店を開けて、1月1日は輪島に行って、家のあった場所に手を合わせてくる」

 2024年の元日。輪島市河井町にあった3階建ての自宅兼店舗は、隣接する7階建てビルの倒壊に巻き込まれ、圧し潰された。一緒に店を切り盛りしてきた妻の由香利さん(当時48)、川崎市から帰省していた看護専門学校の長女の珠蘭さん(当時19)が命を落とした。

楠さん宅を圧し潰したビル

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source : 週刊文春 電子版オリジナル