人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。

 “バーター”って言葉。

 調べてみると「barter【動】物々交換する、(特に利益に目がくらんで)売る、安く手放す」と、書いてあるが、どうやら日本の芸能界では「A氏を出す条件として、まだ売れていないB氏もテレビに出す」そんなプロダクションの抱き合わせ商法のことをいうらしい。

 それとはかなり意味合いは違うけど、僕にもひとつ思い出がある。

 1984年、駆け出しの漫画家だった20代半ば。当時、週刊文春で糸井重里さんが連載していた『萬流コピー塾』。その担当編集者だったNさんから突然、掛かってきた1本の電話。

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source : 週刊文春 2025年3月13日号