3月4日、トランプ大統領が上下両院合同会議で施政方針演説を行った。その演説は史上最長の100分。その内容はいつものように自慢とウソの羅列だった。

「アメリカは復活した!」

 最初にトランプは宣言した。この1か月でダウ平均株価はトランプがカナダとメキシコに課した関税のせいで大幅に落ちていたが。

「バイデン政権では毎月何十万人もの不法入国者があり、そのほぼ全員が殺人犯、麻薬の売人、ギャングのメンバー、精神病者や精神異常者だった」

 んなわけない。CBP(米国税関国境取締局)によれば、不法移民全体のうち犯罪歴を持つ人々の割合は1%未満に過ぎない。

「我々は前政権から経済破綻とインフレの悪夢を引き継いだ」

 逆だよ。経済破綻を引き継いだのはバイデン政権だった。第一次トランプ政権最終年の2020年はコロナのせいで経済成長率はマイナス2.2%だったが、バイデンはその後4年間で5%増しの2.8%まで回復させた。インフレ率も2022年に8%でピークを迎えたがバイデンは2024年の時点で3%まで沈静化させた。トランプは自分が大統領になったらインフレを終わらせると宣言していたが、就任してから逆にインフレ率は悪化している。

 次にトランプはイーロン・マスクのDOGE(政府効率化省)の成果を誇った。

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source : 週刊文春 2025年3月27日号