大統領就任から3カ月。トランプ政権が世界を揺るがせ続けている。根本にあるのは、政策を巡る朝令暮改だ。そのブレはなぜ起こるのか。自らへの忠誠と自尊心を満たす政策を求める大統領の下で蠢く側近たちの攻防を描く。

「日本は関税や軍事支援の費用、『貿易の公平性』について交渉するためにやってくる」

 トランプ米大統領(78)は4月16日朝、同日夕(日本時間17日朝)に開かれる日米の関税協議についてSNSにこう投稿した。

忠誠心を求めるトランプ氏

 日本政府は仰天した。防衛省関係者は「在日米軍駐留経費のことなのか。協議の議題になるとは聞いていなかった」と話す。協議団を率いる赤沢亮正経済再生相にトーキングポイント(応答要領)も渡していなかったし、防衛官僚も同行していなかった。

 日本側はとりあえず、「この問題については持ち帰る」という方針だけ決め、訪米団に伝えた。トランプ氏はホワイトハウスのオーバルオフィスに赤沢氏を招き入れ、日米安保条約や対日貿易赤字などについての不満を並べ立てた。

 日本政府関係者の一人は「世界各国がトランプ氏の前で列を作るなか、先頭に立てたのは協議時間の確保という点ではよかった。トランプ氏と直接会えたことで、不確実性も多少は減る」と話す。ただ、別の関係者は「欧州と違って、日本は対米貿易の比重が大きい。日米安保にも縛られている。日本が下手に抵抗できないことを知ったうえで、利用されているのかもしれない」と話す。

 ホワイトハウスは協議終了後、トランプ支持者のトレードマークである「Make America Great Again(MAGA、米国を再び偉大に)」帽子をかぶって両手の親指を立てるポーズを取った赤沢氏の写真を公開した。

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source : 週刊文春 2025年5月1日・8日号