新型コロナウイルスのオミクロン株が感染拡大し、感染者数が高止まりしていた2022年3月17日。午後4時13分、スーツ姿の男たちが熱海駅に降り立った。先陣を切って自動改札を通過する中年男の背後に、影のように寄り添うジャケット姿の男は、周囲に鋭い視線を投げかけている。
その後、5人の男たちは2台のタクシーに分乗。約15分後、一陣は高台にある創業130年の老舗旅館に辿り着く。部屋に備え付けられた月見台からは四季折々の風景が見下ろせる。和装のスタッフが出迎え、チェックインを済ませた彼らは束の間の休息を取ると、約20分後にロビーに集合した。
この日、熱海を訪れたのは、東証スタンダード上場の株式会社エフティグループ代表取締役会長(当時)、畔柳誠氏。まるで護衛のように付き添うのは、取締役執行役員(当時)を務め、後に代表取締役社長の要職に就いた安藤暢彦氏である。他の3人は、同社の元社員ら畔柳氏の側近たちだ。

まん延防止等重点措置が敷かれ、不要不急の外出や移動の自粛が求められる中、彼らが徒歩で向かった先は、指定暴力団である稲川会の三代目本家だった――。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル