反ユダヤ主義に毒され、中国共産党と関係を持ち、不逞留学生が跋扈する――トランプ大統領にこんなレッテルを貼られた名門が揺れている。ハーバードの現役学生、卒業生、研究者50人余りが世界一の大学の現状を語る。

 2025年5月29日、快晴のハーバード大学キャンパス。まばゆい新緑と初夏の光に包まれた朝、黒と深紅のガウンをまとった卒業生たちの前で、アラン・ガーバー学長がかみしめるように言葉を紡いだ。

「この街から、全米各地から、そして世界中から集った2025年の卒業生の皆さん。まさに、あるべき姿です」

学長のアラン・ガーバー氏

 轟くようなスタンディングオベーションで学長のスピーチに賛同を示した卒業生たち。その脳裏によぎっていたのは、トランプ政権による大学自治への介入と、学問の自由と全ての学生を守るために体を張ったハーバード大の数カ月間にわたる死闘だった。

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source : 週刊文春 2025年6月12日号