東京電力福島第一原発の事故は畢竟、誰にも防げない事故だった――。そんな裁判機構の“結論”が見えた判決だった。

 原発事故で東電に損害が生じたのは津波対策を怠った旧経営陣の責任だとして東電の株主が損害賠償を求めた訴訟の控訴審で6月6日、東京高裁は旧経営陣に約13兆円の賠償を命じた一審判決を取り消し、株主側の請求を棄却した。

 司法担当記者の解説。

「訴訟の焦点は事故を引き起こした津波について旧経営陣が予想できたか、津波を防ぐ対策をしていれば事故は防げたか、の2点。一審はいずれも『できる』と判断して賠償を命じましたが、()(のう)敏和裁判長は予想が『できなかった』として却下しました」

判決後、「不当判決」と書かれた紙を掲げる原告ら

 木納氏は1986年に裁判官に任官。司法行政を司る最高裁事務局や法務官僚に出向することもなく、司法研修所の教官を除けば、ひたすら裁判所でキャリアを積み重ねてきた。

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source : 週刊文春 2025年6月19日号