第6回 山尾志桜里議員のこと

2021年4月30日配信分

「週刊文春」編集長

山尾志桜里衆院議員に関する小誌記事が波紋を広げています。記事を受けて、山尾氏はツイッターで<公私の別を大切にしている自分として、その区別が曖昧にみえる行動をとるのはよくないと深く反省しています。本当に申し訳ありませんでした>と謝罪し、所属する国民民主党の玉木代表から厳重注意を受けました。

 お読みいただいている読者の皆さんには伝わっていることと思いますが、問題の本質は、議員パスの使い方が「曖昧」であることではありません。

 議員パスを使って向かった先は、倉持麟太郎弁護士の自宅。山尾氏と倉持弁護士は、双方が結婚状態にあった2017年、不倫関係にありました。2017年9月、このことを小誌が報じ、山尾氏は民主党を離党。その後、二人は離婚し、交際は続いていたと見られます。そして、倉持弁護士の前妻が昨年10月、自ら命を絶っていました。その倉持弁護士の自宅に、何度も議員パスを使って通っていた。図らずも山尾氏の人間性が、この一連の行動に如実に表れてしまっているのです。

 山尾氏は、2009年の初当選の時からアニーの子役、東大法学部卒業、検事という経歴から注目を集めていました。私もお会いしたことがありますが、その頭脳の明晰ぶりはよく伝わってきました。その後、「保育園落ちた日本死ね」で知られる待機児童問題で一気に民主党のホープとなりますが、小誌の不倫報道で離党。2017年の衆院選は無所属で勝ち上がりました。その後、立憲民主党に入党するも離党し、今は国民民主党に所属しています。

 この間、私が政治家・山尾志桜里に最も違和感を持った行動がありました。それは、昨年9月、選挙区の愛知7区を離れ、比例区の東京ブロック1位として次期衆院選に立候補することを表明したことです。

 私は、高校生の時から選挙予測にハマり、選挙オタク、政治オタクになってしまい、記者、デスクとしても政治関係の記事を多く担当してきました。私の政治家を測る基準の一つは、選挙の強さです。何人の人に自分の名前を書かせ、それを継続できるか。そこに政治家の本質、魅力が表れていると思うからです。1996年に小選挙区制が導入されてからは、その議員が小選挙区で勝利しているかどうかをまずチェックしています。

 山尾氏は、小選挙区という自分の城を捨て、東京ブロックの比例1位となりました。政治家は毀誉褒貶ある職業です。権力、人気がある時は人は集まってきます。しかし、苦境の時、支えてくれるのは、選挙区の後援者、有権者です。2017年の衆院選で不倫の逆風が吹き荒れ、無所属のため比例復活という救命ボートのない絶体絶命の彼女を救ってくれたのは、地元でした。その戦いは、自民党候補との差わずか800票あまりという超激戦。逆風の中、有権者に「山尾に一票を入れてほしい」と頼んで歩いた支持者たちにとっては、非常に厳しくつらい選挙戦だったはずです。その後援者を捨てて、東京に行く。山尾氏はもう政治家として復活の目はないと感じました。

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source : 週刊文春

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