「赤木ファイルの存在、国が存在認める方針」
5月5日、朝日新聞がこう報じました。赤木ファイルとは、森友学園に関する公文書の改ざんを命じられ自殺した財務省近畿財務局の職員、赤木俊夫さんが一連の経緯を詳細にまとめたものです。
赤木さんの妻・雅子さんが、国などに損害賠償を求めた訴訟の裁判手続きの中で、開示を求めてきました。今回、国はようやくその存在を認めたのです。
このファイルの存在は、昨年、ジャーナリスト・相澤冬樹氏(大阪日日新聞記者)のスクープによって明らかになりました。「週刊文春」2020年4月2日号の「森友〈財務省〉担当上司の「告白」「8億円値引きに問題がある」――検察が握り潰した極秘ファイル」がそれです。その前号で、相澤氏は、雅子さんから託された赤木さんの「遺書」を公表し、世の中に衝撃を与えました。そして、第二弾で「赤木ファイル」の存在を明らかにしたのです。
あれから1年が過ぎ、ついに国が「存在」を認めました。
財務省が森友事件の処分を発表し、佐川氏が退官した際、ある幹部と話していると彼は「この件はようやく終わった」と安堵していました。しかし、事件は終わっていませんでした。財務省は真摯に反省し、膿を出し切ったと世間から見られていなかったのです。その象徴が赤木ファイルです。誰が見てもあるものを「あるか、ないかも言えない」。こんな対応では「やましいことがあるに違いない」「財務省は何も変わっていない」と見られるに決まっています。
私の経験では、組織の不祥事のツケは遅れて現れます。9年前、私がデスクの時に、居酒屋チェーンのワタミを「ブラック企業」と報道しました。新入社員が2カ月で過労自殺していた後も、「365日24時間、死ぬまで働け」と書かれた「理念集」を全社員に配布していたことはその現れでした。1年後、ワタミは新卒の採用に苦労することになりました。予定人数を採用できなくなり、アルバイトも集まらなくなったワタミは業績が悪化し、成長分野だった介護事業を売却、創業者の渡辺美樹氏は、亡くなった社員の遺族に謝罪しました。
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source : 週刊文春