少子高齢化に長寿化、そしてインフレ……。社会の変化に伴い、人生後半に必要な「お金の知識」も変化している。貯蓄、住まい、投資、相続など、11のQ&Aで解説する。

①「老後資金2000万円必要」は本当か?

 金融庁の報告書で「老後資金は2000万円必要」と書かれ、大騒ぎになったのは6年前のことだ。

 高齢世帯の貯蓄額は中央値が1560万円であり、これでは多くの世帯が資金不足に陥ってしまうため、大騒ぎするのは当然のことだった。

 2000万円の額は夫婦2人世帯を想定したものだが、本当にそれだけの資金が必要なのだろうか?

 そもそもこの金額は大雑把に算出されたものだ。総務省の家計調査で、夫65歳以上・妻60歳以上の高齢無職世帯は、平均月収約21万円に対し、支出が約26万で1カ月5万円余りの赤字が出ていた。

 この赤字が老後30年続けば2000万円必要になる、という計算だ。しかし詳細に見ていくと、必ずしも2000万円が必要とも言えないのだ。

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source : 週刊文春WOMAN 2025夏号