日本人の死因のトップを占めるがん。近年は、医療技術の進歩と画期的な新薬の開発で、「不治の病」から「共に生きる」病気へと変わってきた。そこで気になるのが治療費。どのように備えたらよいのか。お金の専門家に、がんとお金のリアルを聞いた。
日本人にとって、がんは身近な病気だ。国立がん研究センターの統計では、一生のうち日本人の2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで亡くなるという。「がんの統計2025」(公益財団法人がん研究振興財団)によると、女性では、40歳代で乳がんが約50%、子宮がんと卵巣がんが合わせて約20%を占めている。
しかし近年は、医療技術の進歩によって、多くのがんは早期発見・早期治療できれば、がんを根治あるいは進行をおさえ、がんと共存しながらQOLを保てるようになってきた。治療についても、従来の入院中心ではなく、仕事や日常生活を続けながら外来での通院治療を受ける患者も増えている。
「最近のがん治療は、仕事とどう両立させていくかが重要になっています」
自身もがんを経験し、2023年に病気の経済的問題に悩む患者や家族支援のために患者家計サポート協会を設立したファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは、がん治療の長期化や薬剤費の高騰で、かかるお金も増えていると話す。「がん医療の進歩によって、外来で投与あるいは経口で服用できる薬物療法が増え、通院による治療の継続が可能になる一方で、薬剤費はかなり高額に。10年前と比べると、標準治療の薬剤費は10~50倍に増加したという調査結果もあります」

治療が長期化すればするほど、通院にかかる交通費や体力的な負担がボディーブローのように効いてくるのだという。「乳がんで使われる薬剤(分子標的治療薬)には、1回の投与に40万円以上かかる新しいタイプの治療薬もあります。この場合、3割負担でも1回12万円。お医者さんから(金額を)覚悟してください、と言われるケースもあるようです」(黒田さん)
しかし、重要なのは放射線療法や薬物療法の個別の金額ではないと黒田さんは言う。
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source : 週刊文春WOMAN 2025夏号