金融庁は6月24日、井藤英樹長官(60)が7月1日付で退官し、後任に伊藤豊監督局長(61)が昇格する人事を発令した。伊藤氏は東大法学部卒で、1989年に旧大蔵省に入省。エリートの登竜門とされる官房秘書課長を4年務め、2019年に金融庁に転じた。将来の長官を約束された大物と目されたが、
「豪快で清濁併せ吞むタイプなだけに、官僚らしからぬ危うさも指摘されていました」(財務省関係者)

「週刊文春」でも22年11月3日号で、後にインサイダー取引事件を巡って起訴される人物との宴席を巡り、国家公務員倫理規程に違反した疑いがある旨を報道。1本約5万円の高級ワイン「オーパスワン」を2本贈られたと見られ、「オーパス伊藤」とも揶揄された。
「加えて“定年の危機”もあった。人事院規則では基本的に、次官(長官)の定年は62歳。伊藤氏は今年11月でこの歳を迎えるため、昇格にはギリギリでした。そもそも伊藤氏は入省年次では更に一つ前の長官の栗田照久氏の2年後輩ですが、二浪して東大に入ったため、実年齢は同じ。栗田氏、井藤氏がともに任期1年で長官を退任しなければ、伊藤氏の昇格は厳しい状況でした」(同前)
そうした壁を乗り越え、長官の椅子を手にした伊藤氏。彼が狙うのは、地方銀行の再編だという。
「コロナ対応に関する政府の施策が終了し、中小企業の倒産が急増している。そのツケは地方の金融機関に及ぶため、監督局長の伊藤氏は強い危機感を募らせてきました。折しも昨年6月、地銀などの取り組みを後押しする『地域金融議員連盟』が設立された。会長には元財務官僚の片山さつき参院議員、事務局長に同じく元財務官僚の滝波宏文参院議員が就任。伊藤氏は永田町付き合いも上手い。この議連とも歩調を合わせ、地銀の再編を目指していく構えです」(自民党関係者)
そして、伊藤氏の長官昇格と合わせ、金融庁は7年ぶりに体制を抜本的に見直す。改革の目玉は「監督と検査の一体化」だ。
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source : 週刊文春 2025年7月10日号
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