今年1月、宮殿・松の間で、皇室の年頭行事「講書始の儀」が開かれた。両陛下を中心にずらりと並んだ皇族方が、学界の第一人者の研究発表に耳を傾ける。その内容が大幅に“改変”させられていたことは、果たしてご存じだったのか……。
講書始は、明治2年、明治天皇が学問奨励のため始めた「御講釈始」が起源。現在は、人文科学、社会科学、自然科学の3分野で功績をあげた3人の識者が毎年招かれ、1人およそ15分間、これまでの研究内容を皇族方にご進講している。
「文科大臣をはじめ、各界の著名人約50人も陪聴する、大きな儀式です。今年の講師は、服装史学を研究する武田佐知子氏(大阪大名誉教授)、国際経済学の矢野誠氏(京都大名誉教授)、免疫学の谷口維紹氏(東京大名誉教授)。トップバッターが、古代からの日本の衣服と社会の関係を研究する武田先生でした」(皇室記者)

1995年、考古学で顕著な功績を残した研究者に与えられる濱田青陵賞を女性研究者として初めて受賞した武田氏。サントリー学芸賞、紫綬褒章も授与された、日本の服装史の大家だ。
「講義では奈良時代の天皇礼服が男女同形だったことが、当時複数の女性天皇が現れる“基層”にあったと指摘。両陛下も時折笑顔を見せながら、熱心にお聴きになっていた」(同前)
ところが発表の裏で、ある異変が起きていた。事情を知る関係者が打ち明ける。
「原稿にはもともと、古代だけでなく明治時代以降の皇室について衣服から読み解く記述があった。論文の結びに当たる部分でした。しかし、これをすべて削除するよう、省庁側が武田先生に求めていたのです」
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source : 週刊文春 2025年7月17日号






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